見出し画像

大切なモノ 【小説 696文字】

家に変えると思い出の品物がなかった。

泥棒ではない。
捨てたのは旦那。

私達が、帰省している間に
家に来たのだろう。

わざと捨てたのはわかっている。
子供達の部屋には
入っていないようだった。
良かった。

私の部屋にあった
子供達との思い出の品は
捨てられていた。

遊園地で買ったお揃いの
カチューシャと写真。
飾ってあったのが、鼻についたのだろう。

結婚してから物自体には
思い入れはしないようになった。

大切な物を失う事で
悲しむのが辛くなったからだ。

ただの自己防衛。
本当は、悲しくて
悔しくて泣きたい。

でも、もう心が壊れてしまった。
何度も壊された心は、
直しても、ツギハギで
中身が溢れてしまう。

だから、物には執着しないようにしていた。
なのに、やっぱり失くなると辛い。

ああ、またツギハギされた部分から
何かが漏れ出しているのがわかった。

頬をつたって流れた液体が
床に落ちた。

自分が思っていた以上に
ショックだったようだ。

もう戻らない。

うずくまり声を出さずに泣いた。
もう我慢できなかった。
駄目だった。


しばらく泣いた後
処方された薬を服用して落ち着いた。
感情から逃げただけ。
でも、もう泣くのは嫌だった。

思い出は、モノじゃない。
旦那が捨てたのは物。
私には思い出が残っている。
これは捨てられない。

これでいい。
私を傷つけるためだけに
捨てられた物達には
謝るしかない。

守れなくてごめん。

でも、私も子供たちの
心には残っているから。
ありがとう。


目では見えないモノが
目を閉じるとみえる。

これでいい。
今、私の心は
少しずつ修復し始める。



暗い話になってしまったので
かわいい女の子置いて置きますね










あ…赤い汁の正体が
いちご!苺なのか?!

このくらいの心境の変化(笑)

この記事が参加している募集

noteでよかったこと

今週の振り返り

サポートありがとうございます。 治療、子育て、罰金返済等に使用させていただきます。