助手席で、シートベルトを付ける。
今回も失敗するだろうと
ため息を吐きながら乗車した。

気合の入った博士は
鼻息荒く興奮気味に
シートベルトを装置する。


「シートベルトオン！」
なんて、変身ベルトの装置の
様な大きな声で叫ぶ。

失敗した時の慰めの言葉を
考えながら俺は、横目で見ていた。
助手席の異世界転生23回目。



研究室は、おびただしい
磁力と光で包まれ、それが車に集中する。
転送開始までのカウントダウンが
始まった。


光に包まれて目の前に
空間の歪が現れる。


数秒後

バン！！

と破裂音がして
バンパーがフロントガラスに
打つかった。

今回も、失敗に終わった。


本当は、博士の発明で、異世界転生は
可能なのだ。
ただ、この形状が原因だ。
本来こういった装置は円形の方が良い。
時空パラドックスや
歪みを考えればわかるが
博士はどうしても
某映画に憧れているので
車での異世界転生をしたいらしい。



憧れを追いかけている博士を
慰めつつ、俺は
今夜も自前の異世界転生機で
転生する予定だ。

【410字】

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