見出し画像

昔の記憶 #白骨化スマホ #肋骨貸す魔法 #毎週ショートショートnote  

白骨化スマホを鑑識に回したが
特に有力な情報はなかった。

次の事件があるまで待つしかないのか。
馬鹿らしい。事件を防ぐ為に
調べているんだ。

俺は自分の両頬を叩くと
気合いを入れて
過去の事件を調べていく。

連続殺人事件は半年前から
始まった。
1件目で使い物にならない
スマホを被害者が握っていたのに
違和感を感じた。

それからすぐに2件目の
犯行が行われた。

被害者は老若男女。
幼い子どものスマホさえも
白骨化したような
フレームが握られていた。


あの日、焼け崩れた
家の歪んだ鉄骨を握り
弟を探していた俺の様に
しっかり握られていたスマホ。

なぜ今その事が頭をよぎるのか
考えたくなかった。

弟は俺と違い勉強ができた。
やんちゃな俺は喧嘩が耐えなかった。

馬鹿な野郎が弟を盾に
俺を脅した。
少し手こずって肋骨にヒビが
入ったが、弟は無事だった。

「僕の肋骨と取り替えよう」
そんな馬鹿な事を弟が言うとは
思わなかった。
「肋骨貸す魔法でもあれば
借りたかもな」
泣く弟の頭を撫でながら
俺は笑った。

【417文字】


#白骨化スマホ  
#肋骨貸す魔法  
#毎週ショートショートnote  

サポートありがとうございます。 治療、子育て、罰金返済等に使用させていただきます。