夜の蝶なんて
一部の女性だけ。

昼職と掛け持ちで
夜の仕事もしていたが
どちらも上下関係は厳しかった。
自分に向いていない仕事を
続けるのは辛かった。

職場で常に笑顔で
怒鳴る人や意味のない話を
繰り返す人たちを相手にするのは
苦痛だった。

でも、ホストの彼と同棲を始め
さらに離れられなくて
夢見る少女でいたくて
関係を続けてしまう。

彼の蜘蛛の巣で
私は雁字搦めになっている。
甘いフェイスと言葉で私を繋ぎ止める。

逃げる事も考える事も止めて
彼の為に働き続ける。

結局昼職は辞めて
夜職で生計を立てる事にした。

職種を変えると以前の数倍以上の
売り上げで私は
すぐにナンバー入りした。


嘘のように急成長していった。

私は蜘蛛の糸に雁字搦めに
なっていた訳じゃなかった。
サナギだった私。

命乞いする蜘蛛を上から見れば
こんなに小さな巣だったのかと
ガッカリしたが、
彼の愛情を独りじめできた。

サナギから蝶へ。


手足のもがれた蜘蛛の
ハートにキスを落として
今日も私は夜の街で羽ばたく。

【410文字】

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