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紙切れ1枚 #呪いの臭み #毎週ショートショートnote

疲れていた。
本当に、心身共に限界だった。

今日も終電ギリギリで最寄り駅から
自宅へ向かう途中
古びた商店街のアーケードは
ほとんどの店に
「テナント募集」の張り紙が
貼ってあった。

空き店舗の前で
時々見かける占い師がいた。
いつも無視して帰宅していたが、
今日はなぜだか引きつけられ
俺は初めてそこに座った。

「お願いします。」
俺は、占いなど受けた事がない。

「両手を見せていただけますか?」
両手を出すと、占い師はしばらく
俺の掌を見ていた。

数分後、占い師は分厚いファイルを
取り出し、折りたたまれた1枚の紙切れを
俺の掌に置いた。

困惑する俺に
「これで、楽になれますよ」
と告げた。

折り畳まれた用紙を開き俺は愕然とした。

「お代はお気持ちで」
そう言われ、俺は慌てて財布に
入っていた札をすべて机に置いた。

疲れなど感じない。
俺は紙切れを財布にしまい。
足がもつれそうになりながら帰宅した。



翌朝、
財布からまじないの臭みを
感じつつ、足どり軽く駅へ向かった。



【毎週ショートショートnote】『ショートショート書いてみませんか?』お題発表!9/17|たらはかに(田原にか)



#呪いの臭み  
#毎週ショートショートnote



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