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北野武「ラストシーン」 感想。

一か月ほど投稿をさぼってしまいました。前記事の資格に無事合格してから色んなことにめんどくさいと感じてしまってしばし休息を取っていました。

なのでリハビリ的なことも含めて緩く読書感想文でも書こうかなと思いました。

私が今回読んだのが2017年発売の本「ラストシーン」。

私は好きな芸人は誰ですかと聞かれると、迷わずビートたけしと答える世間一般の20代とは少し感覚がズレた20代をやっているもので、さらに付け加えると私は芸人ビートたけしよりも作家北野武が好きな人間です。

大学時代に北野映画にハマったのがきっかけで作家北野武の書籍なども読むようになりました。

この本を選んだのは、表紙がかっこよかったという単純な理由です。所謂ジャケ買いというやつですね。

全体的な内容としては、様々なテーマを北野武が答えるインタビュー形式になってはいますが、基本的にはいつもの芸人ビートたけしの歩みと功績についてぶっとんだエピソードと共に語るという内容でした。

幼少期、青年期、ツービート時代、番組製作時代、そして映画監督北野武のキャリアなどを時系列を無視して軽快なテンポで語られていました。

大筋は別の本でも読んだことがある内容が多かったのですが、知っていても語り口が天才的なので引き込まれて読んでいました。

作家北野武の本は、"interesting"な面白いに加えて"funny"な面白いも随所に散りばめられていて本当に凄いです。読んでいると思わず声を出して笑いそうになる箇所が沢山あります。弟子につけたひどいあだ名の話とか大笑いしながら読んでいました。

どんな場面、どんな媒体であっても、客を飽きさせないサービス精神は見習っていきたいなとも思います。

本の最後にアウトレイジ三部作を総括する項目があり、ここは初見の部分が多く大変面白かったです。

北野武監督がアウトレイジ三部作を総括しているのは、ライムスター宇多丸のラジオのウィークエンドシャッフルのゲストで出演した際のインタビューくらいしか見たことが無かったので、キャラやシーンの構想や撮影秘話などは本当に面白かったです。

アウトレイジ三部作は1作目がエンタメ作品として完成されていて、2作目は起と承、3作目が転と結で作ったと語っています。

2作目の結末から3作目をどのように組み立てるのか、そのメソッドが大変面白かったです。2作目の結末から逆算的に辻褄を合わせて脚本を練っていくく過程を細かく提示してくれていて良かったです。

その中で、暴力団組織の勢力争いの物語を続けていくと、いずれ世界中の組織と戦い、世界大戦になって、結局仁義なき戦いになってしまうと思って、3作目で完結させたと語っていました。ここらへんも読んでいて大変興味深かったです。

個人的な話ですが、気に入った作品のパンフや製作者のインタビューなどを見ると、こういった帰納法的なアプローチで作られた作品だったということが結構多いということがありまして、北野映画が好きな理由はこういうところにもあったのかぁと一人で納得していました。

「ラストシーン」、本当に面白かったです。作家北野武をより好きになった気がします。タイミングを見計らって別の本も読んでいきたいと思います。





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