すずらんのささやき｜suzuranko

新月の夜はお茶碗みたい。米粒みたいな白い星々が、夜空いっぱいに…こぼれている。ふと見渡せば、ほら、あんなところにもついてる！だって今日の月齢はゼロだもの。これからいっぱい食べて、まんまるになるんだもんね。

ハンバーグの肉汁が溢れてわあっと声が漏れて美味しさまでもが染み出てしまう前に口の中へしまってしまおう

姿勢のよいエビをいただく鮮やかな朱色腰が曲がるまで家族仲良く健やかに

鈴の音が光を呼んで空から羽がふる響きわたる共鳴が心をゆらし美しく素晴らしい年となりますように

夜空にちらりちらりと舞う雪街の灯りに照らされて新しい年を運ぶ

水たまりを蹴り上げ降り続く雨をかわし力強く進む襷を握るきみの目が燃えている

高窓からてらてらと差す光が神々しく感じて歯磨きの手を止め目をつむる朝

南天の実がちらりああ　また巡ってきたきみと会う季節はいつも心なしか緊張していて未来に思いを馳せていてどこか羽のあるものの気持ちがわかる気がする

凍てついた中で浮かびあがる大きな虹このまま固めてぱりんと砕いてみんなでほおばりたいおいしいねってたくさん食べて虹になりたい

カツ丼食べたのっていつぶりだろう何かに勝つための願かけのとき？おなかぺこぺこでがっつきたかったとき？久しぶりのカツはパワーみなぎる自分に喝、活、勝つ

新しい一年まであと少しうしろを向けばいろんな顔が見える楽しかったあの場所涙した夜悩みぬいた日々笑顔になれた瞬間たくさんの表情をあつめてさあゴールテープをきろう

みんなあわててオフィスを飛び出すいつもはパソコンの虫の上司もおしゃべりなあの子もまるでシンデレラクリスマスの魔法が解ける前に

なまりのボールで頭のなかをボーリングしているみたいぐらんぐんらんぐわんぐわんピンがあちこちに散らばって壁に当たってはね返ってるみたい大会は今すぐ中止ださあ早く、痛みよおさまってくれ

うどんのきもち考えたことある？ちゅるんと吸われてお腹へダイブ器の中で今か今かと待ちわびるときどき怖くなってお箸から逃げ出す麺もいるのよね

すずらんのささやき