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ヘアーをドネーションして思ったこと

コロナ禍で美容室から足が遠のき、毛先が背中に達し始めた頃から
「いっちょ伸ばしてみるか」とロングヘアを目指し
いい歳で伸ばしっぱなしでは良くないので半年に1回美容室で毛先を揃えてもらいつつ、肩下40cm程度に伸びた髪。

入院を機に、一時期よく聞こえていた『ヘアドネ』をしてみることにしました。

支援協会のHPで確認すると、送付時にはルールがあるよう。
そのルールでヘアドネ対応してくれる美容室もあるらしいのですけれど、筆者の行動範囲内には無く。

いつも通っている美容室の方にSNSで
「カットお願いします。ドネーションしたいので、私がゴムで結んだところで切ってもらうことはできますか?」とお願いすると快くOK.
当日はわざわざ定規を持ち出して、長さの確認までしてくれました。

それを持ち帰り、協会に郵送。
全国から大量の毛髪が届くさまを想像すると、そこで活動している方々は強い信念をお持ちなんだろうなと脱帽する気持ちです。

いつぞや、とあるヘアドネ協会の方がインタビューを受けている動画を目にしたことがあります。
その方が言うには
「頭髪がないことに対する偏見が、つまり我々の存在。
当協会が存在しない未来を望む」というようなお考えのようでした。

それを聞いて、
なるほど
「ヘアドネーションは提供する側の自己満足なのかもしれない。」と思ったものです。

それを経ての毛髪郵送。
協会が存在しなくなっていたら宛名人不明で舞い戻ってきそうですが、ついぞその気配はありません。

人は見た目が9割です。
(その値は、その人物の立ち居振る舞いを含む評価ではありますが。)
毛髪は、社の御屋根のようなものだと例える人もいます。
(なので、きれいに整えないといけないよと。)

ここまでで思ったことを書き始めます。
自ら好き好んでスキンヘッドにする人もいらっしゃいますけど
ヘアドネから作製されたウィッグの提供先は
ご病気等やその治療のため頭髪を失わざるを得なくなった方であって、
その目的はその方々自身のメンタルケアのためですよね。

社会的に冷やかされないためにとか
悪目立ちしてしまうからとか
勿論それらを回避するためでもあるでしょう。

でも、きっと耐え難いのは、他ならぬご本人です。
病状を聞かされたとき、
治療内容と副作用を認識したとき、
失わざるを得ない事態に陥ったとき、
それが自分の身に起こったとき、
「救われたい」「少しでも自分の気持ちを楽にしたい」と自衛するのは当然のことだと思います。

そして人には『現状を維持する』という防衛本能があります。
また、『周りと同じことをする』というのも。

変化した部分を隠すためというよりは
『鏡を見たときに従前の自分と近い姿を目にしたい』
『周囲と同様で居たい』という、自衛のためではないでしょうか。

望むらくは、そうして懸命に自分を救い出している人を
周囲が攻撃しないこと。
「人それぞれでいいんだよ」なんて言葉で、その人の気持ちを傷つけないこと。
私自身、そうしない人間で居られるか顧みなければ。

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