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西田哲学の凄さ

西田哲学について考えると

西洋学問の主要武器である理想化への反論

という面が見えてきました。つまり、ユークリッド幾何学を成立させた

抽象化したモノでの議論を
イデアで一般化

し、それを使って

因果関係を明確化して理論づける

手法が西洋学問の力です。こうした発想で

太陽と地球の関係だけで万有引力

の法則を見出す、などの成果が出て、現在の機械化文明が生まれました。

さて、このような「理想化」は、大きな成果を生み出しましたが

理想化で見落とされたもの

という弊害もあります。特に、西洋文明の社会科学的な成果、つまり政治制度などを導入するには、弊害が出てきます。例えば

ヨーロッパの貴族制度を参考に華族制度

を作りました。しかし、そこには

従来の公家・大名そして維新の功労者

が混じっています。従来の伝統ある家々と、維新後の成り上がりでは、自然と衝突が起こります。さらに言うと、欧州貴族にある

ノブレス・オブリージュ

の概念も伝わりません。

また、自然科学の適用が旨く行われた工業製品でも、機械が生み出したものは、設計値からバラツキ

実際は職人の手直し

が必要でした。

こうした、現実の複雑さ、多様さに対応して、西田幾多郎は

行為的直観

などの手法で、直接的に向き合いました。

ただし、西田哲学の凄さは、単に

従来の東洋の智慧への回帰

ではなく

西洋論理で説明できる部分はキチンと説明
それも使った上で世界を心の中に造り直観

しています。まさしく

西洋と東洋の弁証法

で、よりよいモノを生み出す考えです。

これを、私たちはもう一度、複雑多様化の現在に対して、見直すべきでしょう。


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