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フエギア香水サンプル祭り その2

 4月はじめにまたフエギアのサンプルを買った。今回は15本だ。

 2月25日~3月21日に伊勢丹新宿でポップアップが行われたので、2度行ってきた。そこでいいなと思った香りを片っ端からメモしてきて、その中からスプレータイプのものをオンラインサイトで購入。ちなみにポップアップではMuskara Phero J.の30mlを買ったよ。

今回もスプレーの形も量もまちまちであった
(1mlは必ず入ってる、たっぷり入ってたらラッキー)

 ちなみにサンプルは香り飛び・漏れ防止のためジッパーバッグに入れて保管している。



●注意書き
 文中の引用はすべてオンラインストアの各商品ページより。
 これらは私個人の感想です。フエギアは店頭で試すフラスコ・ムエット・肌の上でだいぶ香り方が変わるし、人によっても違うし、それに加えて個人の趣味によって判断されている、という前提をお忘れなく。



Malon / マロン

 汗が光るたくましい胸元から目が離せない。すごいイケメンがいる。

Perfume Chord :
Tonic note : Patagonian Oud
Dominant note : Labdanum
Sub Dominant : Bio Musk

 冒頭に記したポップアップには2回訪れた。
 1回目は女性店員に接客されたのだが、マロンを試したいと告げるやいなや「…そうっ!」と力強く息を吐きながら頷かれた。お姉さんのイチオシだったらしい。
 ウードのわりに香りが強くないので、遠慮なく2,3プッシュつけるのが良いとたっぷり腕に乗せてくれた。お姉さんは夜にバシャバシャと浴びるように付けるそうで、「ハリウッド俳優と一緒にベッドに寝るイメージ」とのこと。目を閉じ香りを吸い込みながら「わかる」と全力で頷く私。素晴らしいイメージじゃない?

 それぐらい官能的でワイルドな本能の香り。甘く、アニマリックで、少しツンとしたエグみもいる。最高。フエギアのウードならでは、お香ではなくたくさんの微生物が発酵しているのような様々な香りが混ざりあった様が、複雑かつ年輪のような重みを演出している。まあ端的に言うと臭い。それがいい。
 私の持っているウード アンデスにも似ているがこちらの方が男性的。もっと分かりやすく親しみやすい、さすがイケメン。好きな男の肌の匂いってどこか甘くない?石鹸で洗った名残の清潔感と、…男性特有のすえた匂い。

 まず甘い。そしてツンとしたムスク調のウード。この甘いウードは馴染みのあるアンデス系なので好き。やっぱアンデスに甘さが混じるのいいな、より臭さが深みに変わるよね。
 パタゴニアンウードはたぶん本物のウードじゃなくてアンデスと同じ「ウード調」の香りだと思う(ウード アンデスは本物のウードではなくそれを模して作られている)。どちらかというとウッディな雰囲気が強い。そこにこのアニマリックさで男性性が表されてるね。フエギアのアニマリックなムスクって大体ツーンとしてくるので私は苦手なんだけど、マロンに限ってはこういった理由からOKよ。

 その上ラブダナムで清潔感も加わっているという。このラブダナムが実にいい…ウードの臭さがレザーのように強いから、パウダリーさはありつつも男臭さが隠し切れないかんじ。ゴールデンカムイ的に言うとムッワァァァていうかんじ。いやでもちゃんと清潔にしてるんですよちゃんとシャワー浴びて爪も綺麗に洗ったの。胸毛モジャモジャしてるけど。紳士なの。エッロ…。

 ちなみに別の店員はマロンの発酵してるような酔う香りが段々熟成されてきたとウキウキ語っていた。今後の香りの熟成がとても楽しみなんだそう。わかる。新しいものでなく年代物のマロンが買いたい(まだ発売されて1年しか経ってないよ)。


Dunas de un Cuerpo / デュナス デ ウン クエルポ

 これぞ奈良の香り? 木々に囲まれた木造の神聖なる場所。

Perfume Chord :
Tonic note : Oud
Dominant note : Olibanum
Sub Dominant : Sandalwood

 女性店員はマロンをハリウッド俳優と例えたが、2回目に接客していただいた男性店員はデュナスを官能的な女性と例えた。汗ばんだ肌のイメージだそう。Dunas de un Cuerpoとは「肉体の砂丘」という意味であり、実際そんなエロティックなイメージで作られている。
 両店員ともに異性の官能性をイメージさせる香りを勧めるっていうのが面白い。

 最初とってもアンバリーに甘かったのがどんどん静謐な木の香りとなり、深く落ち着いていく。スーッと気が引き締まるお寺の中にいるよう。後味も優しくまろやか。確かにマロンと比較すると、この後味に男女の性が現れてるなーと思う。

 静謐で荘厳な雰囲気なのにセクシー。優しく甘い包容感。しっとり汗ばむ暑さ。木々に囲まれ木造の室内に涼しい風が吹いてくる。湿度が匂いを運んでくる。首を動かすと自身の汗臭さにも気付く。絶えない虫の鳴き声が幾重にも重なって周りを囲んでいる。耳鳴りのよう。夏の匂い。
 クルス デル スールもそうだが他のブランドで感じてきたようなサンダルウッドが香ってこないのが私としてはとても好き。インセンスっぽさよりももっと木の匂いが強いというか、本当に実物を目の前に持ってこられたような高解像度の香りだと思う。フエギアってそうだよね、そういうところが好き。

 さて以下は勧めてくれたお兄さんのエピソードだ。
 東京に旅行で来られた方が来店し、一通り試したのちデュナスを選んで、その理由を「地元を感じる香り」だと答えたそうである。中南米の植物を原料としているのに日本人が地元を感じるとは一体どういう事だろうと戸惑うが、よく聞いてみると意味がわかった。その方の出身は「奈良」だったのだ。
 京都のような華やかさはないものの歴史的寺院の多い古都である。そんな場所に暮らす人にとって馴染み深い香りがするということは、先にも書いたが本当に香りの解像度が高いんだと思う。「奈良って生活にお香のような香りが染み付いてるのかも、そういう人に知ってる香りだと言われた事が嬉しい」とお兄さんは嬉しそうに語っていた。

 ちなみに、寺系が好きという女性でもデュナスを試させると大体「ウッ…!」てなるらしい。私だけか、ウードシリーズ真顔で長々嗅いでるの…?
 確かにウードが弱いわけではないので、このフエギアウードに慣れていない方にはちょっと癖が強いかもしれない。
 お兄さん「そんな方にはアンバー デ ロス アンデスがおすすめです!」


Cruz del Sur / クルス デル スール

 夏!むせ返る花の香り、汗の匂い、生い茂る熱帯の植物。

Perfume Chord :
Tonic note : Tuberose
Dominant note : Oud
Sub Dominant : Sandalwood

 チュベローズとサンダルウッドは少し苦手なんだけど、ウードが入っているのが気になって注文。
 むせ返るような豊満なチュベローズに青いフエギア香(全フエギア香水に共通して入っているらしいグリーンな香りのこと。”臭”と書くと字面がアレだから”香”にした)、そして混じる独特な発酵臭。あとスーッとするのはミントか?爽快感と混ざって酒っぽく感じる。

 なんだかすごく不思議な香りがする。まず最初になんだこれは!?って思う(笑)。いろんな香りがしてくるので、ひとつの香水としてはなかなか不思議な感覚だ。
 フエギアのウードって、インセンスじゃなくて膨大な微生物が発酵してますというようなはっきりした香りなんだけど、それが薄く薄く伸ばされて爽やかさすら感じるタイプもある。これがそう。なんとも不思議な香り。それにサンダルウッド~!っていう感じでもないな。

 とにかく不思議な香りなんだけど、苦手かもと思いつつ気温の高い日に付けてみたら思ったより嫌じゃなかった。
 浮かんでくるのは熱帯の森の中、動物と花と草木の匂いがムワッとした雰囲気。空気はカラッとしている。これ、夏につけたらすごく合うんじゃないか?
 それでひらめいて、ラボラトリオ・オルファティーボのアランチア ロッサを重ね付けしたらめっちゃ合う!甘い柑橘との重ね付けすごく良い。ますますトロピカルになる。ル クヴォンのアガピみたいなかんじ…なるほどあれから果汁を取り出すとこうなのか。


Fueguier / フエギエール

 雨の日。ぬるっと滑る手のひらから、果実の名残。

Perfume Chord :
Tonic note : Fig
Dominant note : Galbanum
Sub Dominant : Petitgrain

 フィグの香りといえば、DIPTYQUEのフィロシコスが気に入っているのだが果たしてフエギアは…?
 青く水っぽいフエギア香、その中にイチジクっぽいヌルッとした質感がある。甘さがあまりないので基本フエギア香がメイン、さすが名前フエギエールなだけある。ちなみにフエギエールって言葉だけ聞くと小林製薬みがあるんだけど、イチジクのフランス語Figueとブランド名Fueguia(1833年にチャールズ・ダーウィンの探索に同行した先住民の少女の名前)をかけているそう。
 ガルバナムとプチグレンがいる割に爽快感はそれほどなく、一見青さが爽やかなんだけども、温度はぬるい。水が流れてるとか風が吹いているような大きな動きではなくて、その場に留まってゆらゆらぐるぐるしているイメージ。
 私ははっきりしてる方が好きなのでちょっと趣味じゃなかったんだけど、グリーンかつフルーティで、余計な華やかさや甘さ、酸っぱさがないのは纏いやすくて受けがいいんじゃなかろうか。余計なアピールがない分纏いやすく、他の香りとの組み合わせもしやすかった。

 過去の梅雨時期には、店頭で傘の内側にフエギエールを一吹きしてくれるサービスをしていたとか。高湿度のこの香りも雨の日にならぴったり合う。


Luz sin Freno / ルース シン フレーノ

 眩しい光にかき消される。

Perfume Chord :
Tonic note: Jasmine
Dominant note : Lemon
Sub Dominant : Basil

 アルゼンチンを代表するロックミュージシャン、ルイス・アルベルト・スピネッタの同名曲からインスパイアされ7年かけて作ったそう。これですね。

 サンタ・マリア・ノヴェッラのエバとフィエノの中間みたいだ。もちろんそれに加えてフエギア香の水っぽさもあり、甘くなくメンズ寄り。ジャスミンって甘さや華やかさが強いと女性的なんだけど、アニマリックさが強いとセクシーで茶目っ気みたいになる。おしゃれだな~。
 つまりフゼア系?なんだけど、バニラやトンカの甘さやパウダリーさがないのでずっと風通しの良い、ドライでクールな印象のまま。かっこいい。

 他の柑橘と比べてレモンって、プレティーンの真っ直ぐな純粋さみたいなかんじ。そこにバジルの乾いたおしゃれな印象が、少年の心を持ったおじさん風に変える。精神年齢が幼いというわけじゃなく、みずみずしいんだ。ジャスミンで知性と色気も滲ませてる。
 若い時間が過ぎ去るのが早いようにレモンは長続きしないので、だんだんマロマロと落ち着いてきて乾いたバジルが散らばる。変な甘さにならないのが個人的にはとてもいい。バジルはちょっと癖かもな。後からじわ~…と出てきて長く続き、最初の印象とは異なるので、じっくり試すことをおすすめします。

 このレモンが…とても強くて眩しいんですよ。名前のとおりに。他の香りと組み合わせようとするとね、なんとみんなかき消されるんですよ…!香りが強いのかと思って、最初につけてから他の香りを重ねようとしたけど同じだった。なんでなんだろう(笑)。
 ルース シン フレーノが眩しすぎて他の香りたちがどこかに消えてしまうので、今のところ重ね付け成功してない。こんなことってあるの?


Komorebi / コモレビ

 春の日差し、ぼーっと無心で過ごす昼下がり。

Perfume Chord :
Tonic note : Cherry Blossom
Dominant note : Ambergris
Sub Dominant : Musk

 「木洩れ陽」というと90年代に活躍した某V系バンドのファンとしては、胸を締め付けられるほどの切なさをイメージしてしまうがもちろんそんなことはなくて。温かみと爽やかさのあるとても静かな光景が浮かぶ。実にやさしい。おひさまの優しい陽を浴びるような春の香り。晴れた空の下、満開の桜を見上げる。
 チェリーブロッサムの香りってなんだよと思ったけど(桜の花に香りはない)とても優しい香りなのではっきりした像は現れない。そっと薄ピンク色の甘さを感じる。フエギア香の青いみずみずしさにムスクが混ざり、だんだんと肌に馴染んでいくかんじ。
 風がそよそよと静かに吹いて、まだ肌を出すと寒いと感じるけど、日向に出るとぽかぽかしたおひさまが気持ちいい。ぼーっとしていると時間が、世界が止まったよう。とにかく軽やかで纏いやすい。気に入った。

 他に似た香りだと思ったのはマレーナ。マレーナは日陰になっている室内からガラス越しにそんな外を眺めているかんじ。なんか知ってる香りなんだよな…なんだろう?

 すごく纏いやすい香りなので、フエギア初心者におすすめできるんじゃないかな。名前からもイメージしやすいよね。


Cuentos de la Selva / クエントス デ ラ セルバ

 かわいい柑橘ミルク。夢の中をふわふわ飛んでいってしまう。

Perfume Chord :
Tonic note : Bergamot
Dominant note : Benzoin
Sub Dominant : Melissa

 優しい甘さと柑橘の香り…夢心地のなか、ちょっと目を離した隙にコロコロと転がっていく。似たタイプだとミルキーなラ カウティーバやンブクルジャーがあるけど、香料が違うのもありその2つよりも弱めで優しく、なんだか幼い。だからよく集中しないと香りが逃げていくような気がする。いつも1プッシュしか付けないけど倍つけてみるが、それでも目を離すといなくなる。
 甘くて軽やか、柑橘の皮みたいな苦みがほんのりあってたまらない。かわいらしいフルーティな香り。ベンゾインの甘さがやさしい、軽やかでくどくない。フエギアらしい青さはありつつ、さっぱりした雰囲気ですごく新鮮。遠慮なくたくさん纏ってよさそうだね。寝香水にもいい。はー…気持ちいい。遠慮なく2,3プッシュつけていいね。

 ちなみにCuentos de la Selvaとは、1918年にブエノスアイレスで出版されたウルグアイの作家オラシオ・キロガの童話で「ジャングル物語」という意味。


La Luna / ラ ルナ

 神聖なる木々の香り。意識が研ぎ澄まされる静謐な時間。

Perfume Chord :
Tonic note : Copal
Dominant note : Copaiba
Sub Dominant : Amyris

 香料見てもよくわからないのでググってみる。コパルはバルサムなどの樹木から取れる樹脂でスパイシーな香り。コパイバはその薬効から聖木とされてきたマメ科の樹木で甘くスパイシーな香り。ちなみにこれをメインにしたコパイバという香り(トニココレクション)があった。でもトニコは廃盤だったか?オンラインではサンプルのみ、気になる~。アミリスは割と知られている、ミカン科の植物でさっぱりしたウッディな香り。

 つまりさっぱりとしたスパイシーなウッディという事だな。実際トップはアミリスがとっても爽やかで柑橘風の細く貫く感じがいい。そこに花のような柔らかい香り、清々しい木の香り、そしてフエギア香のベース。柑橘風の印象に対して他が優しい。シトラスというわけじゃないがさっぱりとした酸味と樹脂のネトッとした甘さが柑橘を思わせる。それがとても気持ちいい。爽やかで、静かで、穏やか。

 他に癖がないので(ウッディが苦手でもなければ)纏いやすい。このシンと静まる気品もいい。他の香りと合わせても気高さとその根拠となる自信、プライドがキリッとしていて隙がない。
 すごく気に入ったけど爽やかすぎてあまり寝香水には向かないな(笑)。集中・癒やしにいいね。


Puro / プーロ

 タバコの匂いが染み付いた素敵なおじさま。隙のない紳士ぶりが逆に妖しい。

Perfume Chord :
Tonic note : Tabaco
Dominant note : Cedro Cubano
Sub Dominant : Palo Mulato

 香料見てピンと来る人もいると思う。これはイケおじの香り!それもハイクラスな!
 タバコの苦臭さにアラビカで感じたような酸味も奥にいて、その後から一気にウッディへと変化。セドロはセンダン科の木でシダー系の香り、パロムラートは浄化用のスティックとして使われるそう。確かにそんなふうなウッディの香り。でもラ ルナのような引き締まる神聖さじゃなく苦く重い、大人の男の香り…。ううっかっこいい…!
 いや、浄化されるような感覚もある、さすがヒーリング系の木の匂いだし。わずかに燻すようなスモーキーさも。だんだんとうっとりするような、ムスクのような馴染み方をしてくる。甘くてアルコールっぽくなる。エロ…。あ〜めっちゃ癒やされる…。

 はああすごくセクシーで知的でダンディな男性です。メロメロです。タバコっていうか葉巻なんじゃないの?いい仕立てのダブルのスーツ着てて、ピカピカの革靴にピカピカの腕時計。いい高級車乗ってて、めっちゃ決まってる…。ひと目見てお金持ちだー!ってわかるけどギラついてないしチャラついてない。堂々とした自信がオーラになってる。それにすごく優しい。物腰柔らかく、気遣いがすごい。紳士…。好きになっちゃうからそういうのやめてほしい。

 華やかで美しい女性の香りとペアにしてさしあげると素敵です。もちろんアラビカやビブリオテカ デ バベルなんかと組み合わせても最高にダンディでした。好き。


Rosa de la Patagonia / ロサ デ ラ パタゴニア

 最高のダマスクローズとパタゴニアウードが目の前に差し出される。

Perfume Chord :
Tonic note : Rosa Patagonia
Dominant note : Patagonian Oud
Sub Dominant : Charcao

 フエギアの中でもかなり高価な香り。この1mlサンプルでも1870円した。その理由が、大事に育てているダマスクローズがジュリアンが納得のいく最高品質になったものしか使わないからだそうだ。つまりめっちゃ希少品なんだ。確かムスカラ ロサもそうじゃなかったかな。
 私はローズが苦手なんだけど、フエギアのローズはなんだかいちごみたいな甘さがあって、酸味や芳香剤っぽい香りは少ない印象。感情的でなくお高く留まってもいない、品性とプライドを持った真の淑女というかんじ。お姉さま…!

 とにかくダマスクローズが香り高い!あたかも今すぐそこで摘んできたよ、ほらと目の前に差し出されたような新鮮な魅惑の香りがする。ローズ苦手の私でもうっとりさせられてしまうほどに。
 ローズのビロードのように輝く質感に、発酵するように染み入るウードがバランスを取っている。ウードはマロンに似て少しツーンとするが弱め。とにかくメインはローズ!本当に女性的な印象だなぁ。
 だんだん新鮮な印象は薄れていき、ウードと混ざり酸味のある甘く落ち着いた感じに。

 とても素敵なのだがやはり私にはちょっと難しく一度拭き落としたのだが、あまりに香りが強くてほんのり残ってしまった。
 が!このわずかにふわっと香ってくるローズのなんと良い事か!これだけ薄まったら大丈夫だということがわかった(笑)。今後も遠慮してちょこっとだけ付けてみようかな。他の香りとも重ねてみたい。


Alhambra / アランブラ

 薔薇咲き乱れる宮殿、濃厚なとろける香りに埋もれる。

Perfume Chord :
Tonic note : Amber
Dominant note : Ambergris
Sub Dominant : Rose

 アランブラ。アルハンブラ。そう赤い宮殿の香りである。焼肉ではない。
 アニマリックに超濃厚な蜂蜜のような香り!アンバーとローズが交わると蜂蜜のように香るのだ。だんだんローズの方がはっきりムンムンと香ってきて、ああそこにいたのはアンバーグリスかと正体が見えてくる。
 そうなると意外とすっきりした印象に変わる。とっても甘いけどね。

 うん、ローズだな〜…。これも私は警戒して弱めに付けないとだめだな。
 ロサ デ ラ パタゴニアと比べて、アンバーのとろける濃厚な甘みが強い。パタゴニアはもっとローズがはっきりしていて、ウードのツンとしたアニマリックさとの組み合わせがエロかった。それにあくまで花の甘さだったな。こちらのローズは、あくまで濃厚なアンバーの風味づけというかんじ。

 そしてこの香りもまた、難しいなと思い拭き落とした後になって「なんかめっちゃ芳醇でいい香りがする!」と一人あたふたする。よく嗅いでみるとさっきと同じなんだけど(笑)服に残った僅かな香りがとっても良い。
 やっぱ私には、ローズはこれくらい薄く薄くしたものがちょうどいいんだな…加減難しいな。でも分かってよかった…。


Pampa Húmeda / パンパ ウメダ

 清く正しく、自然の中へ逃げよう。

Perfume Chord :
Tonic note : Petitgrain
Dominant note : Galbanum
Sub Dominant : Oregano

 アルゼンチン中部の草原地帯パンパ、その東部にある湿潤地帯ウメダ。
 スーハースーハー…
 ああ…。最高にグリーン。まさに草の匂い。そしてとてもみずみずしいんだ…!

 これ嗅げば嗅ぐほど夢中になる。とにかくグリーンがはっきりしてて青い。濡れた柔らかい芝生にゴロンと寝転がってるよう。土や他の匂いはしない、ただ草。なんて爽やか…癒される…。人間を相手にするのに疲れ、仕事にも社会にも疲れて、自然が恋しくなったらここに逃げよう…。

 次に紹介するパンパ セカが晴天の下だったのに対し、ウメダは水にたっぷり濡れた草。本当に芝生の上に寝転がってる気分。大地と草は水分たっぷりだけど風は軽いんだ。この甘さのないきつめの酸味が混じる草の匂い、いいよねぇ。オレガノでおしゃれに風味づけされてる。

 梅雨から夏にはうってつけ。青々しいがむせ返るようなきつさではないし、柔らかさがあるのでちょっと元気のない日にもおすすめだ。


Pampa Seca / パンパ セカ

 晴天の空の下、草原に寝転がると、透明になって風と消える。

Perfume Chord :
Tonic note : Pampa Grass
Dominant note : Algarrobo Negro
Sub Dominant : Galbanum

 ウメダのスピンオフ。ウメダはブランド初期の2010年から、セカは2016年から。湿潤地帯ウメダの西部にある半乾燥地帯セカ。
 ジュリアンいわく「夏の日、草原の中を散歩していると、暑くなって木陰でひと休みするだろう。陽の光に照りつけられた草と土の匂いがあまりにも心地良く、思わず胸いっぱいにその空気を吸い込みたくなる、そんな光景(日本公式FBより引用)」だそう。

 つけた瞬間ああーっこれだーっ!!と叫びたくなるほど爽快。晴天の下の広い野原。果てしない草原と青い空、あとはしっかりした木々が立っている広い世界。人間なんかいない。動物も見えない。虫はいるかも。ここで無になりたい…。
 見事に草と木しかない。最高。この苦く臭い植物の匂い…深呼吸しよう。大自然に逃亡したくなったらここへおいでパート2だ。少し植物性油っぽいクリーミーな甘みもあるけど遠めだから嫌じゃない。

 はあ…気持ちいい…。ウメダでは感じなかった眩しい太陽と青い空を感じる。力強くも優しい、ゆっくりとした自然のなか。その緑色に同化していく。光合成の香り。

 ウメダより元気のある香りなので気持ちに余裕があるとき向け。夏にはぴったり!


Ballena de la Pampa / バジェーナ デ ラ パンパ

 パイプを咥えたクジラ紳士が、甘い煙と潮の香りに乗ってやってくる。

Perfume Chord :
Tonic note : Hay
Dominant note : Ambergris
Sub Dominant : Tobacco

 パンパ平原に横たわるクジラさん。だが上2つのような青い草の匂いではない。

 甘い…そしてラム…不思議…。公式にはあくまでアンバーの甘さとしか載っていないが、ショコアトルみたいなラム感がある。このラムに思えるものをじっと見つめていると、塩っぽさと焦がした砂糖のように感じられてくる。
 ああ、これ塩キャラメルだ!でもなんだかキンキンとしたメタリックさがいるようで、集中が途切れるとまたラムに戻っていく。なんだろこれ…わかんないけど甘くて心地良い。あたたかくてホッとするような。
 ツイッターを見るとラムレーズンと言う意見に出会う。そうそう、ラージョやルナロハに感じるようなレーズンぽさがあるよね。ただこれも集中が途切れるといなくなる(笑)。

 空に浮かぶクジラさんが潮を吹き、しかし気付くと姿が見えない。あるのは大きな雲だけ…。
 ああ、遠くからタバコの匂い。穏やかに甘い。またクジラさんが顔を出す、パイプをふかしながら。このクジラさんずいぶんダンディだな。


Endeavour / エンデバー

 すっきり爽快リフレッシュ。飲み過ぎ食べ過ぎ胃のムカつきに!

Perfume Chord :
Tonic note : Palisander
Dominant note : Hinoki
Sub Dominant : Pink Pepper

 ロンドンを拠点とするブティック「Trunk」の創業者とジュリアンのコラボ作品。
 カクタス アスールが好きで、他にもミントの入ったものはあるか聞いたら勧められたもの。仕事中に使いたいと言う男性が多いそうだ。

 なんと言ってもヒノキの香り!癖のないすっきりとした雰囲気はとても気持ちがいい。嫌味がなく、フエギア香が混じって柔らかく甘いまろやかさに変わり、じーんとウッディが底にいる。ぽちょぽちょ垂れて溜まる水っぽい雰囲気だが、ミントのおかげで流水になってる。
 これも「大自然に逃亡したくなったらここへおいで」のパート3だな。

 これ本当に気持ち切り替えるときに良いです。シャキッとして出かけるぞーとか、食べ過ぎた後とか(笑)。私は下戸なのでわかんないけど、飲みすぎた後にもいいんじゃないかな?胃のムカつきに効きますよ!
 森林浴の香りってかんじ。気持ちいい〜!癖がないので万人におすすめ!



 はい!以上です。
 フエギア オンラインストアは注文してから発送までとても早いし梱包も丁寧です。土日祝はお休み。サンプルは一度の注文で15本までですよー。



 いままで書いたフエギア関連記事は以下。

●フエギア香水サンプル祭り その1。12種類。

●それ以前に購入したサンプルについて。9種類。

●購入したOud Andesについて。


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