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アマゾンの便利さと登山の楽しみ

夕べ、アマゾンに注文したポールマッカートニーのCDが今日起きたときにはテーブルの上に載っていた。私が起きた時間は遅く、十二時である。親が届いたそれを食卓の上に置いておいてくれたのだ。朝刊を取りに行ったらすでにポストに入っていたとのことだ。私は久しぶりにアマゾンで買い物をしたので、その早さに驚いた。なんて、便利なんだ。
私は今、そのポールマッカートニーのCDを聴きながらこの文章を書いている。
ところで、私は登山に行くのが趣味だ。
登山とは考えてみれば面倒くさく、不便極まりないことをする。
しかも、私は今年はテント泊を中心にやろうと思っている。それは便利とは対極にある行為だ。ここで私は、「大事なものほど面倒くさい」という宮崎駿の言葉を思い出した。
本当に登山は面倒くさいのである。
山頂近くの山小屋などに泊まったとき、朝、日の出を見るために、四時に起きねばならない。朝が弱い私には辛いことだ。しかし、自分で見ると決めた日の出なのだ。ここでサボったら、今年の私の思い出はせっかくの登山で晴れているのに寝坊して日の出を見なかったという残念なものになってしまう。よし、起きるぞ。私は自らに鞭打つように寝床から起きて仕度をし、小屋から出て湯を沸かしコーヒーを淹れる。山頂で温かいコーヒーを飲みながら日の出を見るのが至福のひとときなのだ。朝食は前日に受け取った山小屋の弁当だ。湯を沸かしながら弁当を食べる。コーヒーを水筒に入れたら出発だ。
山頂からは東の明るくなりかけた空を見る。
日の出だ。西側の朝日に山が染まるモルゲンロートが見られる。
山に登って良かったと思う瞬間だ。
アマゾンのように便利さを追求するのが人間社会の方向性だとしたら、登山のように趣味はあえて不便なことをする方向性が強くなっていくのかもしれない。

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