資産形成を企てる上で覚えておきたい最大の足枷とは
NISAやiDeCoが一般に浸透して久しいこの頃。資産形成を真剣に考え、株式投資を始める個人も多くなってきました。
証券会社はどこがいい、この先伸びる企業はどこなのか、どの投資信託が良いのか、などの話題は絶えませんが、その前に覚えておきたいことがあります。
資産形成を企てる上での最大の足枷の存在。。。
結論から書きましょう、「借金」の存在です。
もう少し厳密に言えば、キャッシュフローを産むためのレバレッジとしての借入金(ハードアセット購入のためのローンなど)を除く、金利が4%以上の借入金です。
身近な分かりやすい例としては、カードローンやフリーローン、クレジットカードのリボ払い、高金利の教育ローンやマイカーローンです。
もし、資産形成を本気で考えていて、上記のような借入金がある場合、株式投資などの資産運用をしている場合ではありません。
有り金すべて借金の返済に充てて、可及的速やかに借金を無くすことが鉄則。
今回の物語は、筆者の身の回りで起こった実話になります。
34歳から始めた資産形成
筆者と年齢と境遇が近いことから、業務の事以外でもちょいちょい子育ての事やら世間話をする同僚がいます。(以下Aさん)
Aさんは、結婚してからずっとお小遣い制で、家計の管理は妻に任せていました。どのくらい貯金があるのかも、子供達の教育費の準備がどうなっているのかも、ほとんど知らない状態だったとのことです。
Aさんは妻が貯金をしてくれている”だろう”となんとなく考えていたらしく、もちろん、資産形成に関してもほとんど考えていませんでした。
サラリーマンとして評価され働く同じ身分として、その評価はコントロールできず、給与所得は青天井で増やすことが出来ない旨の話をしていた折に、退職金のない会社に勤めていること、今後の年金制度への期待は出来ないこと、資産運用の重要性を伝えたところから、Aさんも株式投資による資産運用を意識するようになりました。
その時のAさんは34歳だったので、資産運用に早く着手したわけではないですが、遅すぎることもない年齢だと思います。
資産運用資金の捻出
資産運用するにも、その資金の捻出が必要になるので、まずは家計の状況把握と資産運用をする旨の合意形成を家族と取ることと、必要な時に奥さんからお金を貰う(数千円単位)お小遣い制をやめることを提案しました。
また、AさんにはまずはiDeCoから始めるといいと伝え、AさんはiDeCoでS&P500連動インデックスファンドの積み立てから始めました。
次に、NISA口座を開設し、積立NISAを活用した積み立て投資も始めました。
さらにAさんは少しづつ勉強をしながら、特定口座にて個別株やETFへの投資にも挑戦するという形で、資産形成を決意してから約2年、捻出できる範囲の資金で資産形成を進めていきました。
借入金の存在
徐々にAさんの金融リテラシーも向上し、もう少し資産運用に資金を投下したいとなってきたようで、家計の管理(予算配分など)を奥さんではなく、Aさん主導で行いたい旨と、資産形成の目標を奥さんに話をした時、ある事態が発覚しました。
実はAさんの奥さんがAさんに無断で借金を重ねていました。転売ビジネスに手を出していたらしく、コンサル費用や意味不明な人件費などいわゆる情報商材的なものに相当額つぎ込んでいた様です。
消費者金融複数社に借り入れが総額約250万円程あったらしいです。
貯金は全くなく、子供たちの学費なども貯めていませんでした。Aさんはとてもショックだったと語っていました。
ここまでがAさんの話です。
この状況で出来る事
直接話を聞いて、半ば相談に乗っていたので、書き表せない細かなニュアンスを含めると、結構厳しい内容でしたね。
こうなってしまうと、残念ながら株式投資による資産運用・資産形成をしている場合ではありません。
まず何よりも優先的に取り掛からないといけないことは、借金を一刻も早く消すことです。
仮に、年利15%、返済期間3年と仮定して、250万円がどのようになっていくのかをシミュレーションしてみます。結果がこちら↓
毎月約86,000円の返済をしても、3年かかります。そして総返済額は300万円を超えてきます。これで想像は付くと思いますが、毎月の返済額を減らし返済期間が延びれば延びるだけ、支払う利息が膨れ上がります。
株式投資を実践している人ならわかると思いますが、インデックスファンドの年平均リターンはせいぜい5%~8%ほどなので、15%以上のリターンを数年に渡り出し続けるのは難しいです。
「投資をしている場合ではない」と上述したのはこれが理由。
この場合、手元に余裕資金の現金があれば、すべて借金の返済に充てたいところですが、Aさんの家計に貯金はほぼありませんでした。
筆者なら出来れば手を付けたくないですが、まだ幸いにも大きな運用資産になっていませんので、個別株などは一度現金化し、借金の返済に充てたいところです。
※iDeCoは引き出せませんのでこれはそのまま置いておく
まだ積立期間も短く少額とはいえ、積立NISAの解約はさすがに痛すぎる。
基本動作とはかけ離れる行為ですが、現金がない状況と借金の額を考えると、長い目で見ればこれが最も合理的かなと思います。
一日でも早く借金を消して、来年から始まる新NISA制度の下、可能な限り早く資産形成に再度取り掛かりたいところです。
資産形成を企てる上で覚えておきたい最大の足枷とは「借金」である。
全人類が肝に銘じたい原則です。
おしまい
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