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追憶_013_溺れる紹興酒

半年前まで上海で嫌と言うほど食べたはずなのに、いつどの街で食べても中華は裏切らないから不思議だ。彼女も中華が好きらしい。押し豆腐を選ぶあたり、気が合うなと感じる。

朝早くからの仕事を終えて会ってくれるのがとても嬉しい。もうそれだけでくびったけだ。美味しそうに頬張っている姿は反則的と言っても過言ではない。テーブルの下で手を繋ぐ私達はとてもわかりやすいカップルだったかもしれない。

いつから私はこんなにも幸せに素直になれたのだろう。

それでも欲張って、精一杯抱きしめた。触れている面積が増えるほど心地良い。文字通り、無我夢中で抱きしめ続けた。
その日やっと理解が加速した気がする。

この人は私のパートナーなんだなと。

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