女子チームは「トップチーム」ではない?

 スウェーデンのサッカーに目がない私は、同国のサッカー雑誌『offside』を数年前から定期購読している。ロシアW杯後の7月に発売された号では、女子サッカーの特集が19ページにわたって組まれていた。記事のタイトルは「Matchen som aldrig tar slut」(決して終わらない戦い)。女子サッカーの環境について主に書かれている。

 記事で強く印象に残っているのが、代表チームの正守護神ヘドヴィグ・リンダールのインタビュー。リンダールは、クラブチームがホームページで男子チームを「Top team」(First team)、女子チームを「Ladies」(Women)と表記していることに強い違和感を抱いている。女子もカテゴリーではトップチームに位置付けられているにもかかわらず、なぜレディースとして区別されているのか、と。

 リンダールが所属しているチェルシーでは、かつては男子チームをトップチーム、女子チームをレディースを別々にカテゴライズしていたそうだ。だが現在では、「TEAMS」の配下に「MEN」「WOMEN」と分かれている。女子もトップチームとして扱うというクラブの意図が感じられる。

 記事を読み終えた後、女子チームを有する他のクラブはどうなっているのか調べてみた。どうやらチェルシーは少数派のようだ。たとえばアーセナル、バイエルン、ベガルタ仙台のホームページでは、女子チームとトップチームを分けている。

 こうした表記の問題は、ワールドカップやEUROといった主要大会にも当てはまる。リンダールはこう指摘する。

「FIFAは『男子ワールドカップ』と表記すべき。『ワールドカップ』だと、男子の大会だけが本当のワールドカップだと思われてしまう」

 私も、ツイッターなどでつい無意識に「スウェーデン代表エーミル・フォシュベリ」「スウェーデン女子代表ヘドヴィグ・リンダール」と書いてしまうことがある。正しくは「スウェーデン男子代表エーミル・フォシュベリ」だ。

「たかが表記」と思うなかれ。一見すると小さなことかもしれないが、女子サッカーの発展のためには小さくはないテーマだ。