みやざき かつよし/元・書店員

1978年、北海道旭川市出身。1997年から神戸市在住。2001年12月から2022年…

みやざき かつよし/元・書店員

1978年、北海道旭川市出身。1997年から神戸市在住。2001年12月から2022年1月まで10年間、書店員。現在は個人活動「書肆スウィートヒアアフター」を細々と。大阪の「みつばち古書部」に出店中。通販ページも。→https://bookssweet.base.shop/

マガジン

  • 20年目の学びなおし。

    2024年はわたしが大学院に進学してから、ちょうど20年目。再開した学びなおしについて、ぼそぼそと書いていきます。

  • スリップ図鑑

    新刊書店の商品(=本)に、かつては必ず挟まれていたスリップ。 あっという間に大半の出版社が廃止して、いまや少数派。 消えゆくスリップに纏わるあれこれを綴ります。

  • 本のあるところへ

    本屋、古書店、一箱古本市、図書館などなど、本のあるところを訪ねたときの記録です。ときには書店員目線でのコメントも。

  • 雑記。(仮)で本以外の話。

    本以外のアート全般について。

最近の記事

スリップ図鑑・第四回(復活編)

今回はふと思いついて、復活編と題してみました。廃止されたスリップが、思わぬ形で活用された事例です。(尚、私は呑気に書いていますが、出版社にとっては由々しき事態であり、全く笑えない話であることをお断りしておきます。) 一年半くらい前の話です。ちくま新書の一冊として『スーパーリッチ』という本が出ました。ところが発売直後に「不備」が発覚し、回収(= 即返品)扱いとなりました。一度店頭に並んだ商品が(売り切れではなく)全国一斉に、姿を消したことになります。 こういった事例は、実は

    • 本のある場所へ・番外編

      今回は番外編として、本が「なくなってしまった」場所です。 場所は、三宮地下街の「さんちか」三番街。ジュンク堂書店さんちか店が、今年一月末で閉店となりました。(下の写真は営業時の様子) この場所には個人的な思い入れがあります。それというのも、私が10年ほど前に書店員デビューを果たした場所なのです。ジュンク堂が入る前の、別の本屋ですが(後述)。 なので、今回も別の本屋が出店しないかなぁ、と一応(期待せず)待ってみたのですが、やはりというか、そういった展開はありませんでした。

      • コロナ禍で救いになった音楽・2021年篇

        まず、2020年からずっと聴き続けて、すっかり先頭集団から抜け出した3組のアーティストから。 ・羊文学『POWERS』、「you love」ep(中でも「夜を越えて」)。 ・リーガルリリー「the World」ep、「アルケミラ」。 ・Hakubi『era(イーラ)』(中でも「栞」、「悲しいほどに毎日は」)。 羊文学、リーガルリリー、Hakubiは、ライブ参戦がかなったことも相まって、特別な音楽になりました。 この3組を「別枠」扱いにし、ここからは2020年篇になら

        • コロナ禍で救いになった音楽・2020年篇

          2019年末にサブスクリプションを導入し、その分ライヴに多く行こうと思っていた矢先にコロナ禍へ。そんな中、新しく出会った音楽です。 月ごとのヘビーローテーションを目安にして、12組のアーティストをご紹介。※50音順にしました。※リンクは全て公式チャンネルより。 ・カネコアヤノ『燦々』(中でも「光のほうへ」、「布と皮膚」)。 ・くるり『thaw』(中でも特に「心のなかの悪魔」)等。 ・Spangle call Lilli line『Dreams Never End』(特

        スリップ図鑑・第四回(復活編)

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          スリップ図鑑・第3回

          久しぶりとなりますが、第三回。今回は中小取次を利用している出版社のスリップをご紹介いたします。 その第一段は、「夏葉社」と「港の人」という出版社、そして「JRC」=(旧人文・社会科学書流通センター、正式社名「株式会社JRC」)という取次会社です。(↓下の写真です) 微に入り細を穿つコーナーですので、一社ずつ今後も続いていく予定。 まずは取次会社についての前置き(=復習)から始めましょう。 出版業界では、トーハン、日販(=日本出版販売)、楽天ブックスネットワーク(=旧「

          本のあるところへ・第二回

          今回は、三宮です。 まずは、三宮駅前古書店。 写真の看板に記載の通り、「センイ商店街」にあります。リムジンバス乗り場と言った方が分かりやすいかも。 こちらは「口笛文庫」と「清泉堂書店」の共同店舗という❝夢の競演❞。個人的に贔屓の両店だけに、期待を裏切らない品揃え。価格も良心的で、まさにパラダイス(表現が古臭い?)。なのですが、それは裏を返せば、いくらでも蕩尽してしまうリスクということであり、お財布が極めて危険です。笑 そういうわけで、マジな話、たまにしか立ち寄らないこ

          本のあるところへ・第二回

          本のあるところへ・第一回

          元町商店街の西の方(4丁目)へ行ってきました。 (注:兵庫県神戸市です) 最初に目指したのは、「こうべまちづくり会館」の1階に入っている、 「神戸元町みなと古書店」。 こちらは、神戸の古書店が複数(オープン時で7店)集まって、共同で運営しています。 かつて、海文堂書店の2階に「元町・古書波止場」が常設されていました(2010年~2013年)が、 そのスタイルが形を変えて「復活」した、という側面もあります。 ここは、閉店時刻が17時30分と早めなので、出足の遅い私は最初に

          本のあるところへ・第一回

          2年前、単なるメモから始まった。

          私が、現在の書店に勤め始めたのが、2019年3月16日。 売れ行き動向や発注に関して、いま手元に残っている一番古いメモがこちらです。 ちょうど一か月が過ぎた頃です。 メモしているのは、直近で売れた商品のうち、なんらかの引っ掛かりがあったもの。気になるものは、スリップに書き込むか、メモ用紙に書き殴るか、どちらかなのですが、その行為自体は前職から変化していません。 さて本題の前に、話の前提となる説明です。 書店員の、とある一日。 出勤すると、まずは連絡ノートやレジシフ

          2年前、単なるメモから始まった。

          真剣に「働き方改革」しよう。

          今年に入ってから未だ一つも投稿できていません。 そもそも、SNSもろくにチェックできていないし、あちこちのHPを探索することもすっかり減ってしまいました。 ましてや、文章を書いて、推敲して、投稿するなど、望むべくもないのが現状です。 しかも、今の書店で働き始めた2019年以降、読書時間も読書量も低下したまま3年目に入ってしまいました。インプットもアウトプットも不十分で、ストレスが増すばかりです。 では、何に時間を費やしているかというと、仕事と睡眠です。 ①仕事。 

          真剣に「働き方改革」しよう。

          スリップ図鑑:第2回

          2か月振りの投稿です。 (とにかく、腰が重い。身体的にではなく、SNSしかりnote しかり、文章を書くことが。)(もっと力抜いたらいいのに、と自分でもつくづく思う。) さて、今回はビジネス系の実用書を主力とする出版社を紹介いたします。 全体に、自己主張といいますか、存在感アピールをもの凄く感じるスリップが多いです。 実用書は類書が多いですし、シェア争いも熾烈。何はともあれ、お客様に手に取っていただけるかが勝負どころでもあります。 本来お客様には無縁のスリップまでア

          スリップ図鑑:第1回

          皆さま、如何お過ごしでしょうか。 私はコロナ禍にあって、緊急事態宣言に伴う休業期間中に、このnote を始めてみました。しかし5月7日の営業再開以降、公私にわたって数多くの困難に出くわし、一日一日を生き延びるのが精一杯となってしまいました。 そうしてようやく、3か月振りにこちらへ戻ってこられました。気負わずに、投稿のハードルを下げるため、しょうもない記事で再開しようと思います。 題して「スリップ図鑑」。 スリップの認知度が分からないのですが、新刊書店の本に挟まっている

          スリップはあるのが当然、だった頃。

          一度書き始めると延々と長くなる傾向のあることが分かったので、こまめに区切っていきます。 今回は、基本的にスリップは付いていなければいけない、という認識だった頃の私の使い方です。主に、前職での「古典的」管理方法に該当します。(ずーっと長年、「スリップのない商品は返品お断り」だったんですよ!それがころっと一転して、経費削減の流れで、書店側の事情をたいして斟酌することなく廃止一直線になっています。)それはともかく、写真へ。 一例として、NHK出版新書の本郷和人『世襲の日本史』の

          スリップはあるのが当然、だった頃。

          私の発注メモ。

          「スリップレス」時代の在庫管理と発注方法。 書店員のみなさま。スリップは「使う派」でしょうか?不要派でしょうか? 私はスリップを大切にして、自分なりに活用してきました。  お客様対応以外で、店舗のパソコンを「自分のために」使える時間は、驚くほど限られています。そんななか、どんな本が売れたのかを把握するうえでスリップは重要、かつ便利な代物でした。  スリップの活用に関しては、久禮亮太『スリップの技法』(苦楽堂、2017年)を是非お読みください。 さて、一気にスリップレス化

          自己紹介(ロスジェネ書店員の年表)

          一度書き始めたのですが、膨大な分量になりそうなので、簡略版を先に投稿することにしました。 2009年9月、某大学大学院某研究課博士後期課程単位取得退学。 2009年10月、大学二回生から10年ほどアルバイトしていた会社に正社員として就職。 2010年1月、(一種の)パワハラにより、元から通院治療中だったうつ病が悪化し、半年もたずに退職。  傷病手当受給中に、突如「ギャラリー巡り」に開眼する。現役美大生や新鋭作家の展示をメインに、毎週、神戸・大阪・京都の「三都物語」を繰

          自己紹介(ロスジェネ書店員の年表)

          「#Bookstore AID」に賛同しました。

          「本屋さんを支えよう!!ブックストア・エイド(Bookstore AID)基金」本日4月30日、上記のクラウドファンディングが「MOTION GALLERY」にてスタートしました。 このプロジェクトは、新型コロナウイルス(=COVID‐19)の感染拡大に伴い、苦境に直面している全国の書店(とりわけ、所謂「町の本屋」さん)をクラウドファンディングによって支援しようという試みです。詳細は以下のリンクをご参照ください。 簡潔に私なりの要約をするならば、「最たるリターンは書店の存

          「#Bookstore AID」に賛同しました。