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Moon Rizeの魔法

図書館を後にしたウサギは、柔らかな日差しの中で深く息を吸い込んだ。彼女は大きく伸びをしながら「うーん」と思わず口に出していた。「海で泳いで、本に触れて、心も体も満たされたけれど、お腹だけは空っぽね。」

カメは彼女の横でゆっくりと頷いた。「そうだね、早く食べる場所を見つけよう」そう言うと、いつもより少しだけ早い足取りで歩き出した。 しかし、ほどなくしてウサギは足を止めた。「ちょっと待って!」彼女の目は『Moon-Rise』という看板に釘付けになっていた。

「月の出ね、なんてロマンティックな名前なのかしら。」ウサギの声には、夢見るような響きがあった。 店内に足を踏み入れると、彼女の目はキラキラと輝く貝とサンゴのアクセサリーに引き寄せられた。

「あっ、これ!米原ビーチで見た貝と同じだわ!」と言うウサギの声に、お店の人は微笑みながらも少し驚いたようだった。「貝の中に何か入っていなかったですか?」という店員さんの問いに、ウサギは思わず首をかしげた。

「ど、れ、に、しようかなー」と言いながら、次々とネックレスを胸にかざしてみるウサギの横で、カメは空いたお腹を抱えながらいつまでも優しく彼女を見守っていた。
南の島の時間はゆっくりと流れていた。

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