数日前、ウサギは図書館で動物図鑑をめくっていた。ページをパラパラと進めるたびに、彼女はいろいろな動物に夢中になっていた。「久しぶりに動物園に行きたいわ」と、彼女はそっとつぶやいた。隣に座っていたカメは静かに笑みを浮かべながら、「夢見ヶ崎動物公園に行ってみようか」と彼女に提案した。

急な階段を上がって迷路のように入り組んだ住宅街を抜けると、二人は動物園の入り口にたどり着いた。園内を歩き始めると、ウサギの目はレッサーパンダに引き寄せられた。ガラスの向こうで、二匹のレッサーパンダが竹の葉を夢中で食べていた。ウサギはその姿を見て微笑みを浮かべた。「食べるのが大好きで、暑さが苦手なのね。私と一緒だわ」と。

「こっちにはフラミンゴがいるわ」ウサギは目を輝かせながら駆け寄った。「それにしても、片脚で立ったまま全く動かないのね。すごいバランス力だわ」彼女は真似してみようとしたが、すぐにぐらついてしまった。「これは真似できそうにないわね」ウサギが周りで何をしようと、フラミンゴは動かなかった。

ウサギがフラミンゴの姿に夢中になっている横で、カメはじっと周囲を観察していた。「さっきから気になってたけど、この動物園の中にはたくさんの神社があるね。気づいてた？」

ウサギはフラミンゴから目を離し、驚いたように振り向いた。カメは彼女の瞳を見ながら話を続けた。「天照皇大神という神社は、江戸城を築いた太田道灌が参拝したらしい。道灌がこの地で夢を見たことから、ここは夢見ヶ崎という地名になったんだって」

カメの話に耳を傾けていたウサギは、「動かないフラミンゴを見ていたら、何だか眠くなってきたわ。私も夢を見ようかしら」と、可愛らしいあくびをした。春風がやさしく吹き、木々の葉がさらさらと音を立てていた。