【演技の良し悪しってなに①】なぜか悪い芝居に引っ張られちゃう。

よく思うんですが、みんなは演技の良し悪しをどこで見ているんでしょうか???

ドラマを見てて「あの人は上手」とか「あいつは下手くそ」とか、割と気軽に言ってると思うんですが、よくよく考えると一体どこでそれを見ているんでしょうか。

見ているだけならいいのですが、演劇をやっている側もそんな風に見ていると、いざ自分がやるときになって苦しい思いをします。

今回は、演技の良し悪しって何なのか。どういう風に見ているのかを数回に分けて書いていこうと思います。

何が面白くないかが、わからない。

ボクは演劇を始めてしばらく(十数年くらい)、何が良い芝居で、何が悪い芝居かがずっとわかりませんでした。だから正直云って知り合いの、お世辞にも決しておもしろいとは思えないお芝居を観に行くのがホント嫌でした。

面白くない芝居を観ると、なんか見ていてざわざわする。こっちが恥ずかしくなっちゃう。そんな感覚に陥ります。だから直視しないでうつむくんですが、内容が入ってこないので、次第に眠たくなって…。

結局なんの芝居だったのか。わからないで終わったっていう体験はよくありました。

面白くないけど、何が面白くないかがわからない。
でも感覚として楽しめていないし、同業に対する対抗心もあるものだから、結局見るところといえば、揚げ足を取るような荒ばかりを見てしまう…。

決して安くない観劇料金を払ってわざわざそんなことをしてしまう度に、自分の心が荒んでいくような気持ちになりました。だから、あまり積極的に観に行くことはしませんでした。

わからないのに、引っ張られる。

何が良いか悪いかがわからないのに、そんなものに限って不思議と影響を受けてしまいます。
わからないし、そうなりたくない。なのになぜか、直前に見た芝居に引っ張られて、稽古で同じような質の演技をしてしまう。

そんな演技をしてしまうと、なかなか抜け出せないし、やってて面白くなくなるし、自分に才能なんて無いんだと失望もしてしまう。

ボクが長らく演劇で成長を出来なかったのは、この悪循環のサイクルを延々繰り返していたからでした。

良い演技も、引っ張られる。

でも、良い演技を観てもちゃんと引っ張られます。

こんな経験がありました。
稽古をしてて、なかなか手応えを感じられなかったとき。上手な役者さんが一回試しに相手役をしてみると、途端になぜかそれまでと違い、自然と良い感じの演技が自分から引き出されました。

だから、良い俳優と演劇をすると、成長しやすい。第一線で活動していればある程度上手になるなってのは、体験してわかりました。

でも、どうしてそうなるのか。そのメカニズムまで解ってる人っていうのはプロでもあまりいないんじゃないでしょうか。

わからないから引っ張られる。

良い芝居も悪い芝居も、観たらなぜかそっちに引っ張られる。

それは、
わからないのに引っ張られるんじゃなくて、わからないから引っ張られるんだと、ボクは思います。

今ではある程度「わかる」ようになったので、良くないお芝居を観てもちゃんと目を向けられるようになりました。

そのお芝居の良くないところもわかるし、それを改善すればいい芝居になるのも見えるから、その人の良い面を見ることも出来る。

わかることによる効能は大きいです。何より、引っ張られない安心感をえられます。

ということで、この考察はまた次回にします。

アサカワミト


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