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私は、演劇をどう学んでいったのか(前編)

こんにちは。演劇をデザインする人 アサカワミトです。
大阪府枚方市で、演劇体験をもっと身近に、そして未経験の方にも気軽に演劇を体験してもらえる機会を作っています。

今回は「演劇を学ぶ」をテーマに、アサカワがいままでどうやって演劇を学んできたか。
そしていま、どう演劇を学んでいるのかを数回に分けてお話ししたいと思います。

前編ではボクの演劇スタートについてのお話しをしていきます。

どこぞの馬の骨かもわからない奴の話なんてと思われるかもしれませんが、まあ、ひとつの参考にでもなればと思います。

ルーツは「自由過ぎた高校の演劇部」

ボクの演劇のスタートは高校時代です。
仮入部もせずにまっすぐ演劇部に入ったボクは、その日から遅練にも参加していました。新入生歓迎公演なのに歓迎を受ける間もなく、完全に歓迎する側にまわったのです。

そしてそのまま本格的に一年生として新入生顔見せ公演に参加するのですが、この時に三年の先輩から「今回でオレたち引退やから、二か月で全部(ノウハウを)叩き込むわ」と言われました。

「え、はやっ…」そう思いました。
これから色々な世界を見ようという新入生の顔見せ公演は、同時に受験のため色々と畳んでゆく三年生の引退公演でもあったのです。
しかも二年生がこの時一人だったため、やまほどのノウハウを引き継げる者がいませんでした。

山ほどのノウハウとは、どれほどのものか。それは前回の記事でもざっと触れたので良かったら読んでみてください。

怒涛の演劇ノウハウ詰め込み期間

この二か月は猛勉強の日々でした。もちろん学業そっちのけです。

まず授業が終わってクラブ活動が夕方まで。そしてその後ファミレスでスタッフのノウハウを閉店の深夜二時までひたすら叩き込まれる日々でした。

演劇部はやってみるとわかるんですが、役者よりもスタッフの方が作業量も覚えることも膨大で、音響も照明も全部自分たちでプランニングして設営します。
これが出来ないと、高校演劇のレベルとは言えず、ただお芝居をして見せただけのものに。やってることは小劇場となんら変わりません。

むしろ時間がある分、ボクの先輩たちなんか、たかが小道具ひとつに(されど小道具ですが)、戦後の広島が舞台だからという理由で、ガラス瓶を公民館にあった焼き窯で溶かして、原爆で溶けたガラス瓶を作ったという、無茶苦茶なことをしていたくらいです。

全国大会出場経験があって、そんな武勇伝をいくつも持ってた我が校の演劇部ですから、面白い話は尽きないし、先輩たちの熱量も高く、ノウハウのレベルも高い。

普通はひとりが一つのスタッフノウハウをゆっくり叩き込まれるんですが、この時、三年がいなくなるともう誰も教える者がいなくなり、技術の継承が途絶えるという危機的状況だったので、ほぼ全スタッフノウハウをボク一人に二か月で叩き込まれました(他の同期は正直そこまでの熱量がありませんでした)。

しかも本番が近づくと、公立高校なのに夜九時までが通常運転。
本場直前までいくと24時を過ぎていた日も(顧問が凄かった)。
自由でした。いまじゃ不可能なくらい自由でした。

しんどかったけどそこまでしてやったのは、ひとえに楽しかったからです。
何を隠そう、人生で初めて生きがいを感じたからです。

二か月間寝る間も惜しんで打ち込んだ結果、お顔がカリカリに。しかもこの時、主役。

怒涛の二か月が今の基礎に。裏方スキルは役者にも必要。

この頃学んだノウハウが、ほとんど今の自分の基礎として刻まれています。ただ、よく考えてみると…

誰も演技については教えてくれなかった。

まあ高校生だから大したレベルの演技テクニックは教えてもらえませんでしたし、正直スタッフの方が楽しかったので、そちらにのめり込んでいました。

実際、小劇場で活動してみると、やってきたことが専門学校や大学で学ぶレベルと遜色ないほどでした(むしろ即戦力なくらい)。だから、テクニカル側にのめり込んでも仕方なかったと思います。

なので、今までの話は演技をしたい方にはなんの役にも立たないただの自己回顧録であって、本題にも大して関係のない話でした(書いてから気づきました)。

でも言えることは、たとえ役者だけにしか興味の無い方にとっても、裏方仕事を知ることは大事だということです。

音響とのタイミング、照明とのタイミング、舞台装置の広さ、距離感。

これを無視して舞台には立てません。ただ演技をするだけで良いというのは、実は演劇をするうえでほとんどあり得ない状況なのです。

いつ、演技の話に…???

ということで、そろそろ演技についてのはなしに移りたいところですが、長くなったので今日はこの辺で。

でも話はまだまだ終わらなさそうなので、次はおそらく後編ではなく、中編です。すいません(笑)

それではまた次回。

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