封をもてあまして
みんな理由ばかりをさがすけれど
アカシジアが今夜はたぶん、言い訳の代わりになってくれると思うから
ほかに何もいらなくなってしまいました。
灯りのない部屋で貴方を呼んだ声だけがつめたくて
ここから先の物語の進め方をどうもうまく思い出せないでいます。
ずいぶんとおしゃべりな星のない夜空で
誰かのものになった「おやすみ」が溶け出して
ずっと眠って夢ばかりを見たせいでやせた足で歩こうが、もがこうが
もう届きそうにありません。
らしくもなく
無機質な白と黒の羅列を何度もなぞって
こわれないことに安らぐのを繰り返しています。
左手でラブレターを書いても
それは利き手なので
私は貴方のヒロインになれません。
だからこの便箋は折り畳まないで
名前のない季節の夜にぶら下げておきます。
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