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洗濯機をまわした後、もうすこしだけ眠ることにした。
きのう読んだ短篇小説の結末、そのほろ苦さはアルコールで溶かされたはずだと信じていたけれど目覚めはあまりに酷かった。

アンバランスな日曜日よ、髪を撫でて。

口のなかに押し出された生ぬるい真白のひるのように目盛ぎりぎりまで込み上げて弾けそうな、あえて名前をつけていなかった感情。
やけに今、それがさらさらとしているのがこわかった。

街が実際の距離よりももっと遠くにあるような錯覚がわたしを慰めているうちに、ひとつふたつみっつ数えて息をとめる。

「泳げない二本足の人魚は
泡のひとつにもなれないこの海は…」

失くした声でそっと、あなたに分からないように唱える。

わたしのどのパーツにもかみさまなんていないから、祈り方なんてわからない。
36度6分がたてる寝息だってもしかしたら、あなたにとってとびきりの雑音かもしれない。

今日も蛋白質の塊は
その終わりをゆめみている。

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