無題

形状記憶にとうとうあらがえなかったあおい煙を、ここのところ何度も夢で見るようになった。
悪夢をみることはベルソムラの副作用なのだと精神科医は言う。
それでも眠れないとすぐ体調を崩すので「そうですか、では様子を見てみます」と答えるしかなかった。
どこの誰に消費されるエモよりもタチの悪いフィルターがかかって、一日一日遠ざかるごとに重加工の施された蠱惑的なそれが、どんな蓮コラよりも私をグロテスクにしていくのにまた取り繕ってしまった。

出来のわるい私の脳に備わったチャプター機能は
わざとらしく
スローモーションで
諦念を手に取るまでをじらしてみせる。

あなたが横たわるつめたいシーツのことばかりを何度もおもう。だれの涙も拭えない、かろうじて脈があるだけの肉片が髪をはらりとゆらす。名前をしらないシャンプーとたばこのにおいがした。指先は冗談みたいに冷えてもう何にも触れられそうになかったから、夢のなかでその肉片は目をとじた。

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