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円空―旅して、彫って、祈って―

あべのハルカス美術館開館10周年記念で開催されている「円空
―旅して、彫って、祈って―」を見に行きました。今日は雨降りの月曜日ですが、天王寺の駅直結なので雨に濡れることなく行けますし、多くの美術館がお休みの月曜日も開いている便利な美術館です(休館のこともあります)。

円空は江戸時代の僧侶で、仏師でもあった人で、日本各地を旅して多くの木彫りの仏像を残しました。それらの仏像は荒い彫りあとと微笑みが特徴です。

金剛力士(仁王)立像(吽形) 岐阜県・千光寺
金剛力士(仁王)立像(吽形) 背面から

展示室に入ってまず最初に出迎えてくれたのは千光寺の金剛力士(仁王)立像(吽形)で、こちらの仏像は撮影可能になっていましたので色々な角度から撮影してみました。背面は、木の穴などそのままですね。
しかし、円空は仏像を作り始めた頃からこのようなゴツゴツした仏像を作っていたわけではなく、その初期(30代くらいの頃)には表面のつるんとしたものを作っていました。
修行のために各地を旅し、三重県志摩市片田三蔵寺と同市阿児町立神薬師堂の大般若経を巻子であったものを修復して見返しを付けた折本にしているのですが、その見返し部分に自分で仏画を添えていて、それをきっかけにデザインの簡略化が進んだのではないかと言われています。その大般若経の展示もありましたが撮影不可でしたので、WEB記事を探しました。なかなか可愛らしい絵柄です。ご興味ある方はご覧くださいね。

両面宿儺坐像 岐阜県・千光寺

「両面宿儺」は日本書紀に名前の出てくる異形の人物で、一つの胴体に二つの顔があり、それぞれ反対側を向いていたと言われています。その両面宿儺を、円空は片方の顔の肩越しにもう一つの顔が並ぶ形で造形しました。

地蔵菩薩立像 岐阜県・千光寺

この地蔵菩薩は小さな仏像ですが、優しい表情をしており気に入りました。

護法神立像 岐阜県・千光寺

こちらのお像は、1本の材を4つに割って木裏を前面にして作ったそうです。
撮影のできないお像の中には、木材を割ったままの割れ目をそのまま光背に見立てたものもあり、面白かったです。円空は、彫る以前の材に既に仏がいると考えていたそうで、余材も大事にし少しも無駄にすることがなかったそうです。愛知県の荒子観音寺所蔵のお厨子に納められていた千面菩薩像1024軀のうち30軀の展示もあり、小さな木の破片で作られた菩薩像のひとつひとつに違った表情を感じました。

本日のお土産 千光寺さんの御朱印「両面宿儺」

生涯で12万体の仏像を作ると言っていた円空の仏像は、5千体が現存すると言われ、今回拝見したものはその中の160体に過ぎません。仏教の修行をすることに人生を費やした円空の人生に思いをはせる時間になりました。

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