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【感想77】シック・オブ・マイセルフ

突発的にサウナ行ったけど、スマホの画面は割れるし異常に味噌ラーメン食いたい気分のまま明日用に買ってきたお菓子をドカ食いするし、なんのいいこともないわ。

他人に勧めやすい ★★★★★
個人的に好きか  ★★★★☆

こういうタイプの映画って確実に救いの手が伸べられるもんだけれど、主要人物誰一人として真っ当な神経をしている人がいないおかげでゆるやかに主役2人がどん底に落ちていくのを眺めるだけの1時間半っていう、かなりタフな映画だった。
『トゥ・レスリー』とは真逆なイメージ。

主人公のシグネがかなり自己愛が強くて他人に相手にされるために平気で噓を言う『フランシス・ハ』に近い人物像ではあるんだけれど、かなり嘘が脆いのと妙に現実味のある心理の動き方が見ている側に気持ち悪さを増長させてくる。

冒頭でのシーンで「傷ついた、怪我をしたらみんな心配してくれる」ということを学習して、自身の事しか頭にない彼氏にかまってもらうために行動することになる。
なのでフィクション色の強い振り切った蛮行で話題を取る、迷惑Youtuberっぽいことはしないで、違法薬物のODによる自傷行為を謎の病気ということにして彼氏どころか一部世間に見られる形として紙面やウェブニュースに取り上げられるところまで来る。
とにかくしっかり聞いたり見たりすればバレるレベルの嘘ではあるんだけれど、多分組み込まれているんであろう「人はそんなに他人に興味はない」という理由で嘘はバレないけれどかまってくれた人はすぐ興味を失って離れられる、というシグネにとっては悪循環が生まれる。

時折嘘を白状しているシーンが差し込まれるけれど、白状したらなんだか好転してみんなの注目を浴びたぜ!ていう都合のいい方向へいく妄想だったという部分がより本人の悲惨さを色濃くしてる。痛い目を見そうな手前で止まれないっていう、物語の派手さがない代わりに他人事には思わせないような描写が結構多い。


結局は嘘を真実として生き続けて、最終的に綺麗なバッドエンドを迎える所はむしろ清々しさすらある。
なにもスカッとしないし他人事と思えない人が多いだろうけれど、異常なグロテスク描写はないというのもあって人は選ばないし安易に勧めやすいものではあるので気軽に見に行ってほしい。
今月の一般向け大作は『ザ・クリエイター/創造者』とこれって事で。

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