[感想18]グリフィスの傷

 正直、今年出版された本の中でトップ3は安泰なぐらい好みにハマった。
平均20ページ前後の10篇の短編と2時間あれば全て読めてしまうので、本屋で見かけたらぜひ読んでほしい。

 どれも傷を題材としていて、目に見える/見えない傷やそれが癒えること、傷を負わせた人や負った人と、様々な視点や要素を踏まえたうえでのお話になってる。特にお気に入りなのは『結露』と『まぶたの光』。

 特に表題にもなっている『グリフィスの傷』は現代(というより身近なオタクたち含む人たち)により合うテーマで、本人が告解している姿を通して傷みと向き合う姿が描かれている。
大半のお話では傷を負った人、被害者視点でのお話が多い中で加害経験のある人が視点という変化球であったり、話の構成含めたロジック面での旨さは飛び抜けてる印象がある。

 上記で挙げた『まぶたの光』は他のお話とは打って変わってシスターフッドに近い毛色だったり、『慈雨』では他者の傷とそれに対する記憶を覗くことによる気付きであったりと、10篇毎に異なる発見や思慮を得られるので時間を見つけて一気に読むのがおすすめです。

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