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【感想20】仮面ライダーBLACK SUN

 全然見たことないBLACKだったせいで情報を仕入れていなかったのもあるけれど、配信されてから全10話のドラマというのを知って本当に驚いた。お前2時間弱の映画じゃないのかよ...…

https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B0B8THT124/ref=atv_dp_share_cu_r


 大まかな感想としてはつまらない寄りの面白いで、文字に起こしてシナリオ読むと面白く感じるかなというのが正直な気持ち。
描きたいテーマ自体は1話をサラッと見るだけで伝わってくるのでどういう視点で見ればいいのかはだいぶわかりやすい。ので平均40分*10話=400分の長尺でも何がしたいのかよくわからない時間はほとんどないし、一気見しやすいせいで二晩で見終えてしまった。

 ただ良くも悪くも邦画にある”画面がずっと暗い”とか”何喋ってるのか聞き取りづらい”とか、イメージとして強いあるあるがエッセンスとして出ているのでこういうのが好きじゃない人はかなり楽しむのが難しいと思う
あと話を見ている最中に「これどういうことなんかなぁ...」て気になる部分が出てくるけれど、8割は説明なしで終了したのでこういうのが気になる人はかなりむず痒い気持ちで7時間強のドラマを見続けることになる。






 結構言われているゴア描写についてはめちゃくちゃ頑張ってる。
1話では腹から臓物引きずり出したうえで首をもぐし、血はしっかり赤。ちゃんと派手に噴き出す。戦闘もエフェクトをガンガンに使った平成後期のライダーみたいな感じでもなく、ひたすら肉弾戦で殴り合うようなウルトラマンシリーズの感じが近いと思う。こういった見せ方に加えられたゴア描写は戦いの生々しさがより強く印象付けられてるのがすごい好き。

 戦闘以外でも怪人に関係する描写では結構惨い描写が多い。
特に「人間の顔じゃないしこんぐらいやってもいいッショ...」と言わんばかりに悲惨な仕打ちを受ける怪人が多くてそういう意味で怖くなった。ライダーの面割れは結構見てきたけれど、怪人の面割れ(多義)がなかなかキツイ見せ方してくるのでここだけでも見てほしいぐらい印象深くなってる。

 こういった描写が多いのもテーマ自体が種族差別を重点的に扱っているのが大きいかも。しかも写実的な差別表現が濃く描写されるので尚更。
ここら辺は本当にあっ…と声が漏れそうなぐらいマジっぽい差別行動の見せ方をされる。挙句の果てには吊るし上げて丸焼きにしたりと、学生物のドラマみたいな陰口や露骨に避ける虐めからは完全に逸脱する手口なのでこの辺りは本当に大人向け仮面ライダーの名に恥じない部分になってる。

 こういったビジュアル面ではアマゾンズに似通うものはあるけれど、作り上げてる空気感はしっかり邦画のソレになってます。こういう部分はマジで褒めたい(インターネット批評家)。

 悪い部分は多分監督の手癖っぽいところと、6~8話辺りで内心ドラマじゃなくていいよなぁ…ていう本音が漏れ出そうになるダルいテンポなのが大きいなと個人的に思った。

 上記で挙げた説明がない部分も、BLACKを知ってること前提で口頭説明どころかカット割りとかそこらへんもあまりなしで突き進んでいくせいもあるし、こんなこと言われたけれど真偽について考える材料がなさ過ぎてどこまで考えればいいのかモヤモヤさせられるせいもある。
終盤回収するっしょ…と思ったら半分ぐらいそんな感じで片づけられていくし、咀嚼なしで唐突に降ってくる設定がまあまああるので、自分の鑑賞スタイル的には本当に微妙な後味にさせられたしあんまり印象が良くない。



 総括としては、正直人に薦められないけれど、仮面ライダー見てる人には一回見てもらって感想を聞いておきたい。ていうのが今のところ言語化できる範囲での感想。
あまりにも言いたいテーマ(差別そのもの)が強く伝わりすぎて、そこから何を伝えたり訴えたいのか(差別に対する意見主張)はかなりぼやけたままというのが見終えた後の感覚だった。ジョン・ファヴロー監督の「CHEF」のほうがその辺りはうまく折り合いがついていたと思います。
こういう風刺ものはエンターテイメントとして良ければ良いほど広く深く愛されていくし理想だとは思っているけれど、そもそもエンタメとして微妙なのが自分で自分を転ばせている気がして仕方ない。

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