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【感想108】ペナルティループ

 明日は『声優ラジオのウラオモテ』の先行上映。今日だと思ってバルト9に駆け込んだら日付どころか開演時間すら間違って覚えていたし、スクリーン入り口手前に来てチケットとりだして初めて気づいたぞ。こんなトチ狂ったミス初めてだわ。

他人に勧めやすい ★★★☆☆
個人的に好きか  ★★★☆☆

 まぁ面白いっちゃ面白いけれど、「もっと面白くなれるポテンシャルあるはずだよな…?」て気持ちにさせられる。
わりと供給過多になってきたループ物の中でもかなり面白い舞台設定なうえに初見でいくとより楽しめるギミックで描画による見せ方に重く比重を置いているのもあって邦画の中ではかなり硬派で良い作品なので今年の邦画の中では結構いいランクに位置するようになるとは思う。


 この作品自体、ループの仕組み含めた要素を書き連ねる時点で無粋なうえに楽しみの7割を奪ってしまうので核心は言わないけれど、やっぱり抜け感を作るタイミングと雰囲気の形成はめちゃくちゃ心地よい内容だったと思う。
ループ物の宿命になる、登場人物も観客も中盤あたりからダレる部分はちょうどいい温度感だった。『ベイビーわるきゅーれ』シリーズみたいなインターネットのノリを持ち込んだ臭さとかもなく、徒労から来る脱力がベースなのでドッと笑い声が起こるというよりはクスッと来るような場面がメインなので湿度高めな作品の雰囲気を大きく阻害しないのはいいなぁと思いながら見てた。

 あとは序盤からの要素の散りばめ方。時間が経つにつれてどういう事なのかが発覚していくシステムなので最初のうちにノリきれないと全編通して理解して楽しめないのは難しいところだけれど、口で言わずに仕草や表情といった画で見せてくる。しかも若葉竜也と伊勢谷友介の二人が見せてくるので役者の実力や実際に見せてくれるものについても文句なしだった。やっぱいい役者さんだよ、若葉さんは。

 で、「もっと面白くなれるポテンシャルあるはずだよな…?」ていう気持ちがわいてくる理由は何個かあって、うち1つはループ以外の設定面。
ここは呑み込んでやるのが一番いい落としどころではあるけれど、主要人物3人に関する背景設定はかなり無理やりな感じが強くてのめり込むのに阻害される要因の1つになった。捉え方に個人差があるとはいえラストの伝えたいだろう内容をちょっと邪魔する味の濃さをしてるような設定だなと感じたのもあって、ここは個人的にはもう少し手を加えてほしかったなあ…。直近の出演作のせいもあって、それが連想されたのが余計にノイズだった。


 この作品の根幹が若葉竜也演じる岩森淳の内省に関する話というのを押さえておくとラストの何したかったのかっていうのはすんなり頭に入っていきやすくなるとは思う。
そういう意味でも他のループ物とは一味違う結末を迎えるし、時間あるときに見てもらえるといいなぐらいの作品だと思う。

 

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