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【感想111】フォロウィング

 クリストファー・ノーランの作品を見るのに慣れるためにはちょうどいい作品だし、短い時間でノーランメソッドを十二分に感じられるので隙間時間がちょうどいいハマり方で見る時間を作れる人は見に行ってほしい。サブスク配信ではないので、気になった人は早めに映画館へ。

他人に勧めやすい ★★★★☆
個人的に好きか  ★★★★☆

 作家志望のビルが繰り返し行うようになった尾行を、コッブという男にバレたことを転機としてある事に巻き込まれた一部始終を展開されていく。

 やっぱり面白いのは見せ方から来る、面白のグラデーションの鮮やかさがデビュー作から抜群にうまい構成をしているなってところ。
例によって今作でも時系列をバラバラにされているわけだけれど、後々効いてくるんだろうな、て思える伏線をずっと頭の片隅に置き続ける必要なく伏線回収の気持ち良さを観客に与えてる。
特に目立つのは観客とビルを欺くシーンが直後に別視点で種明かしをしているように、モヤっとしながら見続ける時間がないのは1時間強で収められているからこその良いところになっているんだと思う。

 そこを見やすくするための要素として、不可逆な髪・髭の有無や物理的損傷で時間軸をぱっと見で理解させやすくしたり、空き巣に入る対象の家も物語の理解を阻害しない範疇かつ細かな人物情報を察することが出来たりと、難解すぎず且つ『TENET』『ダークナイト』をはじめとした超大作に負けない情報量があって十分に見ごたえある70分間だった。

 話が面白いのは勿論なんだけれど、それをどう構成していくかっていうのが面白に直結しやすい要素ではあるんだなっていうのはこの作品がわかりやすく示してるなぁ、ていうぐらい脚本と構成の重要さを感じる一本だった。久々に何回でも見ておきたいなって思えるぐらい気持ちよく好みにハマったわ。


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