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とある科学の未元物質(とある魔術の禁書目録外伝) 続編を夢見て

突然ですが、とあるシリーズをご存じの方、もしくはとあるシリーズのファンの方、「とある科学の未元物質」はご存じですか?
もしかしたらとあるシリーズのファンの方にも手に取ったことのない方はいらっしゃるのではないでしょうか。

だとしたら大変もったいないです。以下にその理由を書きますが、まずは作品紹介をします。
本作品は鎌池和馬原作のライトノベル、「とある魔術の禁書目録」に登場する学園都市第2位の超能力者、垣根帝督(かきねていとく)に焦点を当てた外伝漫画となっております。

垣根帝督

皆さんは彼にどのような印象を持ちますか?
これは各媒体で印象が違うかと思います。例えば彼が本格的に登場するアニメ「とある魔術の禁書目録Ⅲ」だけを見ている方にとっては、
「2位のわりに弱くね?」
「かませじゃねーか」
「イキって出てきたくせに退場早すぎ」
など、あまり彼に対して良いイメージは持っていないのではないでしょうか。
確かにアニメだけ見ても彼の登場時間は短く、いつの間に倒されていたという印象であることは間違いありません。
そして何より彼が何をしたかったのか、意味不明に思われる方もいるでしょう。原作小説のほうではもう少し登場時間はあり、彼の心情描写も載っているのですが、それでも彼の明確な行動論理は不明でした。

原作でも分からないのかよ、と思われるかもしれませんが「とある科学の未元物質」を読めば彼のそうした事情を推測することができます。
また彼の、第1位に下剋上をするという一見エゴに染まったような行動の真の背景も感じることもできます。

「とある科学の未元物質」は垣根帝督のヒーローの面が描写された作品でした。
本作中での垣根帝督は一方通行(アクセラレータ)の演算パターンを手に入れるべく行動しています。
その過程で一方通行の演算パターンを植え付ける実験である「暗闇の五月計画」の被験者、杠林檎(ゆずりはりんご)と出会います。
しかしDAや木原などの勢力も彼女を狙っており垣根提督は成り行きで彼女を守ることになります。

この構図だけを見ると本編とある魔術の禁書目録の3主人公、上条当麻・一方通行・浜面仕上と重なるところがありますね。彼らには多くの守るべきものがありますが、それぞれ特にインデックス・打ち止め(ラストオーダー)・滝壺理后は大切な存在です。
このような構図を頭に入れたうえで「とある科学の未元物質」を読むとより一層物語に深みが増します。

「とある科学の未元物質」の詳細な内容について言及するのは避けたいと思うのですが、旧約15巻、もしくはアニメ「とある魔術の禁書目録Ⅲ」で一方通行VS垣根帝督の戦闘での2人の言動に注目すれば、この「とある科学の未元物質」の行き着く先が予想できるのではないでしょうか。

本当に垣根帝督は第2位の格付けに不満をもっているだけで第1位に挑んだのか?
アレイスターへの直接交渉権を得たのちに彼は何をするつもりだったのか?

「とある科学の未元物質」を読んでいれば、あの第1位との戦闘でも彼の並々ならぬ信念が透けて見え、また悲しい戦闘にも見えるのではないでしょうか。

そして私が「とある科学の未元物質」の続編を希望する理由。まぁ色々あるのですが、一番はやはり「スクール」視点であの旧約15巻、アニメでいうと「とある魔術の禁書目録Ⅲ」4話~6話のストーリーを見たい、というのが大きいです。「スクール」というのは垣根帝督がリーダーを務める暗部組織の1つですね。
他のメンバーには、
「心理定規(メジャーハート)」の能力を持つ獄彩海美(ごくさいかいび)
レベル4の「念動能力」の能力を持つ誉望万化(よぼうばんか)
レベル0ながら卓越した狩猟スキルを持つスナイパーである弓箭猟虎(ゆみやらっこ)
弓箭猟虎の脱落後に加入したプロのスナイパーである砂皿緻密(すなざらちみつ)

がいます。アニメ「とある科学の超電磁砲T」の「天賦夢路(ドリームランカー)編」を見たことがある方にとっては誉望万化や弓箭猟虎といったキャラクターは馴染みがありますよね。特に弓箭猟虎は同じ暗部組織「アイテム」所属のフレンダ=セイヴェルンとの戦闘において強烈なインパクトを残しました。
しかし誉望万化は原作ではほとんど喋らずに、アニメでは一言も喋らずに死亡、そして弓箭猟虎に至っては「アイテム」によって殺害されたことは分かっているものの描写が何もなし。
学園都市の暗部に関しては分かっていないこともあるのですが、望んで暗部で活動している人物はほとんどいないものと思われます。
それは弓箭猟虎も同じです。彼女の詳細なパーソナルについては「とある科学の超電磁砲」の外伝漫画である「アストラルバディ」で描かれています。少々思い込みが激しい性格ですが、彼女も望んで暗部に所属していたわけではなさそうです。
誉望万化と獄彩海美に関してはまだ詳細な情報があまりないのですが、彼らも旧約15巻、いわゆる暗部編では信念をもって行動していたでしょう。特に獄彩海美に関しては一方通行戦に赴く垣根帝督に対して直接交渉権を手に入れたら連絡してほしい、と伝えています。彼女が直接交渉権をどう利用するつもりだったのかも気になります。
さらに学園都市に反逆するような計画に加担していたわけですから少なくとも学園都市に対して不満を持っていることは確かです。
様々な思惑が交差する「暗部編」ですが、このように人物の心情を理解したうえで見てみると物語に一層深みが増します。
よって、この辺りを「とある科学の未元物質」の続編が出た場合は是非描いてほしいものです。

それから垣根帝督の過去、そして暗部堕ちの経緯も気になります。作中で明確な暗部堕ちの経緯が描かれた人物として一番に挙げられるのが一方通行だと思います。彼は打ち止めという弱みを握られたことや、自身の過ちを加味して暗部組織に入りました。
一方通行は垣根帝督との戦闘の際、彼について悲劇に触れて壊されたのだと推測しました。
私は「とある科学の未元物質」が発売される際にこの悲劇についてのストーリーが語られるのではないか、と思っていましたがどうにも不十分のような気がしてなりません。
確かに「とある科学の未元物質」はあの「暗部編」での垣根帝督の動機について一役買っているストーリーではありましたが、もっと垣根帝督のパーソナルについて深堀りできるのではないか、と思っています。
そこで「とある科学の超電磁砲T」第1話に登場した彼の発言について気になる物があります。彼は大覇星祭に参加する子供たちを「努力やら希望やらをまだ信じてるガキ」と表現しました。確かに浅い意味で取ると彼のこの発言は受け流せる程度のものでしょう。しかし、深い意味で取ると彼はこの学園都市に絶望している、とも取れます。
この絶望こそまさに悲劇と表現するにふさわしいものではないでしょうか。これは彼の過去、そして暗部堕ちの経緯と合わせて語られることを望みます。

ここまで「とある科学の未元物質」をおすすめしたい理由、それから続編を希望したい理由を絞り出してみましたがいかがでしたでしょうか。
ここでは「とある科学の未元物質」の続編を希望する理由を書いてきましたが、もちろん原作でそのうちやる可能性も否めませんよね。
鎌池先生ならレベル5の7人に焦点を当てた外伝小説とか平気で出しそうですよね。いや、書こうと思えば書けることは間違いないのではないでしょうか(笑)。
同じレベル5で言えば第4位麦野沈利第7位削板軍覇、この2人の過去については全く触れられてませんし、第6位藍花悦に関しては誰なのかもわかっていません。いつしか、レベル5が盛大に特集される機会があればなー、と願っているのですが...。
それからアニメ三期を見て垣根帝督を知って興味を持った方、是非「新約とある魔術の禁書目録」を読んでみてはいかがでしょうか。彼の活躍にはいろいろびっくりさせられますよ?(笑)。その際にはこの「とある科学の未元物質」も併せて読むのを全力でおすすめします。「とある科学の未元物質」ではこうだったけど、「新約とある魔術の禁書目録」ではこうだった、という対比になっている描写もみられます。
彼が掴んだものは是非皆さんに知っていただきたいです。

ともあれここまでお付き合いいただきありがとうございました。

猟虎ちゃんって誰に殺られたんだろう?
相性的には最愛ちゃんかなぁ? 

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