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61歳の食卓(9)フィッシュアンドチップスを旬のタラで

タラの味わいは、唯一無二。他の白身魚にはない独特のクセがあり、それゆえ旬の冬になると必ず恋しくなる。

土曜早朝の料理番組で土井先生がタラのビールフライを紹介しているのを観て、昔、山菜を天ぷらにする際に、ビールで小麦粉を溶いた事を思い出した。
タラの芽の伸びすぎた穂は、とかく衣が付きすぎて、揚げると油まみれになり重く食べ疲れる。その解消法として、誰に聞いたか忘れたが、前の晩に呑み残した気の抜けたビールで揚げると、バリッとなる。その堅さが、下手すれば口の中に刺さるほどだったので、そのうち危険すら感じてやめてしまった。

土井先生のおかげで久々にビール衣を思い出した。水分の多い白身魚の場合は、表面が相当カリッとしていても、山菜と違って厚みもあり、程よくさっくり揚がるだろうと思った。

折も折、2月のにこにこ(こども)食堂のレシピを考えていたので、早速、タラフライを試作してみることにした。

「お友達のイギリス人がFish&Chipsには、ベーキングパウダーを入れるって!」
「塩コショーにカレー粉を足して、下味をつけたほうが、色もきれい…」
「子ども食堂だから、ビールはやめて、炭酸で大丈夫じゃない?」
「今回はテイクアウトだから、温め直してもパリッと感を出すには、小麦粉・片栗粉半々にしましょう」

どんどん湧き出る提案を足し算して作った衣は、塩・コショー・カレー粉で下味をつけ、小麦粉と片栗粉同量に、ベーキングパウダー少々を加えて炭酸で割るというもの。

子供の頃、好きだったケンタッキーのフライドフィッシュは、タラだったような気がする。
パリッと仕上がった衣の中身は、雪のように真っ白なタラ。
鱈……サカナヘンに雪とは、昔の人は洒落ているなと思う。
近頃、東京で雪が積もることは少なくなったが、真冬のレシピに、やっぱりタラフライは欠かせない。

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