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楽器やスポーツをひとつ身につけるように

noteの記事を読んで色々と得心いったと学生に言われたので再掲。読んでくれるのは嬉しいね。

学生に伝えておきたいことは、学びにおいては「作業時間の短縮」は学びの時間の短縮、すなわち、学びのチャンスの減少にしかならないケースが多いということ。

手描きで何時間も製図にかかるものをCADでは数分で描画することができるケースがあります。その「製図」の効率性は「設計」というスキルを身につけた後に仕事の効率を上げてくれる有効なものですが、まだ十分に設計のスキルを身に付けていないうちに短時間で「成果物っぽいもの」が製図できて出来上がってしまうと、時間をかけて製図している間に頭の中に浮かんで来るはずの様々なアイデアや疑問を自ら発見するチャンスを奪ってしまうことになります。

半分の時間で「製図」作業が終わってしまったとすれば、「設計」における学びや気付きも半分になってしまっている可能性があります。

スポーツや音楽の演奏のように、複合的なスキルを学ぶ際に学ぶ時間を短縮することが難しいのと同じように、建築設計という変数も多く複雑なスキルを習得する際に、「効率性」を求めることは、自らが到達できるレベルを大きく引き下げる、危険な面があると思います。

効率よく建築設計を学ぶメソッドを考えるのが教育者の仕事だ、という指摘ももっともだと思いますが、到達レベルを低く設定すればイメージできますが、将来クリエイターとしてこれまでの世代と対等以上に設計し議論できる若者を育てたいわけで、容易にレベルを下げる気にもなれないのです。

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