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死体埋め部の栄光と崩壊

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死体埋め部の有業と遊行

 まだ六時前だというのに、店内は既に沢山の客で賑わっていた。飛行機を降りてからこの居酒屋に来るまで、祝部は今でもどこか夢見心地のままでいる。提灯の下がるカウンター席も、普段よりはまともな格好をした先輩も、その先輩が上機嫌で語ることも、全部何処か遠かった。
 そんな中で、織賀善一は歌うように言う。この旅行に合わせて染め直した茶髪が柔らかく揺れた。
「北海道に来ていきなり蟹や寿司に走るのは素人のやるこ

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