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13年間の幸せ。

1月10日。
13年間、一緒に過ごしてきた家族が旅立った。

余りにも突然訪れた別れから、まだ立ち直れていない。
今のこの感情を忘れたくないと思ってここに記す事にした。

いつもの様に朝起きて、挨拶代わりにモフモフのお腹を吸わせていただき、お礼にひと撫で。
一仕事終え昼食を済ませて、午後の仕事を開始して。
珈琲のおかわりを、と珈琲メーカーにカップをセットして、淹れ終わるまでにまたお腹を吸わせてもらおうと思って近寄る。

何か変だな。嫌な直感だった。
昼間は日差しが眩しいから大体顔をうずめて寝てる筈なのに、前足を伸ばしてそこに顔を乗せて寝転んでる。

もう少し近寄る、目が開いている。
心拍数があがるのがわかる。
名前を呼ぶ、反応がない。
身体を撫でる、温かい。
反応がない。
身体を揺する、声をかける。
反応はなかった。

抱き上げた身体に力は入ってなくて
こんなに重かったっけって、変に冷静だった事を覚えてる。そのあとの事はあんまりよく覚えていない。
電話したり、泣きながら写真を撮った気がする。
MFレンズだったから、ピントが合ってたのかどうか。
まだ確認出来ていない。


ダンボールにいつも使ってた小さな座布団を敷き、タオルで枕を作って身体を寝かせた。
今日は一緒に寝よう。
もう身体に熱はなかったけど、手を添えて撫でてあげると僕の体温がこの子に移って、少しだけ体温が戻った気がして、その感触がとても愛おしくてずっと身体を撫でてた。

この子に出会ったのは倉敷のペットショップだった。
細かい事は省略するけど、一目惚れだったと思う。
鳥取から3日連続で倉敷に通って迎える決意をした。
当時は生後2ヶ月くらいだったか。
小さく、白くてふわふわで。
シフォンケーキみたいだと思ってしふぉんと名付けた。

仕事を辞めて、一時的に帰省していた僕の横で鳥取の寒い冬を越した。
僕が東京に出てきて、メンタルをやってしまった時もこの子は横にいて僕を現実と繋いでくれてた。

この子がいなかったら、僕は今いないかも知れない。
それくらい僕の人生を、僕の人としての尊厳を、ずっと横で守っててくれた。

幸せだっただろうか。
小さな子猫だった頃と比べると構ってやれる時間も少なくなってた。写真だって撮る頻度は減っていた。

幸せだっただろうか。

火葬を終えたその日の夜、横になって色んな事を考えた。この子にまだ出来る事はあるだろうか。
冷静になりきれていない頭で捻り出した答えは、精一杯生きるって事だった。
この子に13年間助けてもらった分、しっかりと生きなければと思った。それが唯一出来る恩返しなんだろう。

それにうちにはもう1匹、猫がいる。
しふぉんと暮らし始めて一年経った辺りで愛護センターから引き取ってきた子だ。

うにっていう名前

血は繋がってないが、しふぉんの弟分になる。
この子の事は任せてくれ。しっかり愛情注ぐから。
当たり前の事だけど、改めてそんな決意もした。

まだもう少しだけ、気持ちが落ち着くまで時間はかかりそうだけど。
こればっかりは時間に頼るしかない。

しふぉん。
とりあえず、お疲れさま。
またいつか会いに行くわ。
それまで元気で。

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