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時代を超えて

世界のどこか しっとりと潤っている場所で

のっぺりとした つまらない絵を描く

中にはモノ好きもいて

『おい、その絵を売ってくれ』と言われる


“憂いて やがて自ら陸にあがる魚”

“しっくりこない 口髭を撫でる婦人”

“とめどなく 溢れていく保冷剤の涙”

やめておけば良いのに

さんざん講釈を垂れて

しっかり3枚とも買っていくのだから

とうてい信じられないな

思いを買い手が込めることでも

へつらう価値があるものになるのか

どうして気付かなかったんだろうか

もっともらしいことじゃないか


飛行機の中で

びっくりするほど焦ったこともあった

立ちあがって握手までした相手を

ちょっと思い出せなくて

『かわいいですね』と褒めてから

ねっしんに思い出そうと 冷や汗をかく

つまらない悪あがきは 止めなきゃならない


鳥はいいなぁ

にくらしさも

しがらみも

あらそいごとも

らくに飛び越えられそうじゃないかと

ねっとりとした羨ましさを

ばかみたいに空に放って来てしまった


自覚することすら 未だできていない

人の憂いは時代を超えて









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