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税理士の仕事はAIに奪われるのか!?

はじめに

こんにちは。SYNCA合同会計事務所 共同代表の吉井です。
皆さんはいま話題のChatGPTを触ったことはありますか?
最近はChatGPTをはじめ、人工知能(AI)の進化が目覚ましいです。
これらの進化はわれわれ税理士業界の取り巻く環境も大きく影響を受けることが想定されます。
オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン博士が論文の中で、10年後になくなる仕事として「簿記、会計、監査の事務員」「税務申告書代行者」を上げております。

まさに税理士の主たる業務ですね!

今回は、税理士の仕事はAIに取って代わられるのか考えていきたいと思います。

◆この記事を読んでほしい人

・これから税理士を目指そうとしている方
・税理士の将来性が心配な方
・AIに仕事が奪われるか心配な方


ChatGPTの何がすごいの?

前段でも言いましたが、皆さんはChatGPTを触ったことはありますか?
私は1年前に初めて触ったことを覚えています。
「テキストで送って回答がくるのなら、以前からあったじゃん!」と思われるかもしれません。
確かに、想定される質問に対して決まった返答をするチャットボットは以前からありました。
よく企業の問い合わせページとかにあるやつですね。
しかしChatGPTは、あらゆる質問に対して回答を瞬時に生成して提示してくれます。
これは従来のチャットボットでは回答を事前に登録して回答を返しているのに対して、ChatGPTではインターネット上にある大量のテキストデータを基に学習して回答を返してきます。

大量の情報を基に回答を導き出す、これはまさに現代の我々が行っていることそのものですね。
ちなみにその実力は現時点で、2024年の共通テストの6割くらいの正答率を取るほどの実力があるとのことです。
(共通テストを色んな生成AIに解かせてみた:https://note.com/lifeprompt/n/n87f4d5510100

※ChatGPTのGPTはGenerative Pre-trained Transformerの略で、「生成可能な事前学習済み変換器」という意味です。

税理士の仕事はなくなるのか

さて、こんなにすごい人工知能(AI)ですが、我々税理士の仕事は取って代わられるのでしょうか、、、?


答えは「現時点ではまだまだ大丈夫」と思います。


それはなぜかというと、正しい会計帳簿を作るのはいくつもの判断が必要だからです。
まず、日々の取引の領収書やレシートは決まったフォーマットがなく、紙のものもあれば電子のものもある。
決済手段も現金や、クレジットカード、なんとかPAY、クオカード、商品券など上げればキリがない。信用取引や特殊取引については、他の契約書等の資料をみて実質判断する必要があります。
上記に加え、各種税法の取り扱いを加味しながら帳簿を構築していかなければなりません。
AIは紙の資料と相性が悪いため、紙の文化が残る日本では幸か不幸かまだまだAIにやさしい国とはいえません。

冒頭のマイケル・A・オズボーン博士の10年後になくなる仕事として税理士の業務があげられていましたが、あれは2014年に発表されたものです。
10年経った今の感じでは、税理士の仕事はまだまだなくなりそうにありませんね。

税理士にしかできないこと

上記の通り技術的なハードルの他に、税理士にしかできないことがあります。

それは、税務責任を負うことです。

「え?そんなこと?」って思われるかもしれませんが、例えば、日本において自動運転が普及できない障壁の一つにこの責任の所在をどうするかの判断が難しいことがあげらます。
自動運転をしている最中に事故を起こした場合、誰が責任を取るのか?運転手?メーカー?それともプログラムの開発者?なかなか難しいですよね。

税理士の仕事は税務代理を行うことですが、一つ判断を間違えると税額が数百万、数千万、時には数億円近く異なってしまい、多額の損害賠償を請求されるリスクがあります。
私も独立をしてからその責任の重さに、日々押しつぶされそうになりますが、その責任と引き換えに与えられたのが独占業務であり、AIに決して真似のできない部分かと思います。

AIと税理士のかかわり方

現状の税理士の仕事がなくならなくても、今後、いまと同じ感じで仕事を続けていけば大丈夫かというと、もちろんそうではありません。
今後は、AIなどの最新技術を活用できる税理士とそうでない税理士の価値が大きく開いていくことになると思われます。

例えば、先ほどの例でAIは紙の資料と相性が悪いと言いましたが、極力紙をなくしてペーパーレス化し、決済も現金を使わずにキャッシュレス決済にした場合はどうなるでしょうか?
たちまちAIの活用の幅が増えてきます。(身近なところでいうとクラウド会計がありますね)
通常の取引であればほぼ自動化することができ、イレギュラーな取引にのみ時間を割いて判断することができます。
このように仕訳の前段階でいかにAIフレンドリーにシステム設計をして運用するかにより、同じ業務でもA税理士では10時間かかることでも、B税理士では1時間で終わるかも知れしません。

余った時間で今後の事業計画の策定や補助金、融資といった資金繰りの相談に時間を割くことができます。
このような業務こそ、AIには真似できない税理士本来の付加価値の高い仕事だと私は思います。

AIが敵になるか、味方になるかは自分次第

AIが税理士の敵になるか味方になるかは、自分自身の捉え方次第だと思います。
私たちの身の回りには改善できることはたくさんあります。
公的な手続き、薬局の待ち時間など。
テクノロジーの進化を恐れるよりも、こうした課題が解決されて、私たちの暮らしが便利になる未来がくると思うと楽しみの方が大きいです!

私はルーチンワークが嫌いなので、同じ作業はなるべく自動化したいたちです。誰でもできる作業はAIに任せて、自分しかできないことを洗練していきたいですね。
SYNCAとしても、引き続きクラウド会計を活用して経理の合理化を研究し、RPAを始めとするIT技術を積極的に取り入れてクライアント様に価値提供できればと思います。
今後も最新の技術にアンテナを張りながら、まずは触ってみる!ことから始めていきたいです(^^)/