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【夢日記】好きな男が2人いる場所

好みの異性はめったにいない

 あたしは生来惚れっぽいところが全くなくて、お年頃の娘時代から、めったに異性にドキドキすることがない。だからたまさか好みの男性がいると、その人をじいっと観察してしまう。これはどうしてなのか?なにが起きたのか?と。
 それは夢の中でもかわらないようだった。

 たぶん相手をじっと観て考えているのが好きなのだ。たくさんの人間に出会う中で、「この人がどうしてそんなに特別なのか?」と考える作業は、相手を想うというより、自分のことを観察しているだけなのと等しい。
 あたしは結局自分のことしか考えていないのだ。だから恋をしたとしても全然相手には迷惑がかからない。

久しぶりの人に会った

 夢の中で久しぶりの男に会った。ものすごく昔の知り合いだ。結婚する少し前に、この人好きだなと思ったことがあったが、相手は気が付かなかったはずだ。自分は結婚を決めていて、それは揺るがなかったから、当然のことだ。

 挨拶をして昔話を始める。快活に会話はするが、この人は社交的な人ではない。友達もすごく選んでいた。仲良くしているように見えたのは一人だけで、同年代の男性。共通の知り合いだった。
 面倒が嫌いで、慎重で、基本内側に閉じている。そんなだけど、ちっとも寂しそうには見えない。少し白髪になっているが、そのほかは昔と変わらない。もうあの友達とも会っていないそうだ。ますます閉じていく方に進んだのか。

 ずいぶん会ってなかったけど、やっぱりこの人は好きだなと思った。そこまで閉じてしまえることが謎で、それでも退屈をしていない様子に興味をそそられる。自分は比較的社交的で、彼のあの友達もとても社交的だったが、私たちはもっぱら彼の話をしていたような気がする。
  友達はあたしに「彼は得難い人材だが、あんなだから、発見されない」と言った。でもその友達は発見したのだろう。私も彼を発見したのだ。発見と言っていいほど珍しいことなのだから。

もう一人の男が来た

 電車の中だった気がする。ふたりで並んで話をしていたら、次の駅でまた見知った男の人が乗り込んで来た。

 その人も、あたしが長い人生の中で珍しく異性を感じた人だ。最近もどこかで会ったが、よく偶然出くわすのだ。
 初めて話をしたときに、ずいぶん前から知っているような気がする、と言われた。あたしもそんな感じがしたので、心が弾んだ。でも、例によって迷惑はかけていないと思う。15年ぐらいも前だ。そしてそれ以降、好きだと思う異性はいない。

 この人は普通以上に社交ができる人だとは思うが、あたしに対しては少し壁を作っている気もする。お友達だ、と言える確信がなかった。あたしの方にも緊張があるのだ。見かけが好みなわけでもなく、なぜ好もしくおもえるのかはずっと謎で、だけど何かつながっているような気がしてならない。だからなおさらお互いを警戒するのかもしれなかった。

二人は同じ街に住んでいる

 ふと、そのふたりが同じ街に住んでいることを思い出した。
 あたしは彼らふたりの間に立って紹介をして、その同じ街の名前を告げた。

 途端に彼らふたりはしゃべりだし、話は弾んで、あたしが入っていけない領域にまで進んでいった。楽しそうに話をしている。職業はまるで違うはずだ。いや、だけど音楽の趣味は合うかもしれない。ふたりともかつては音楽に野心があったけど、結局没入はしなかった経緯も同じかも。いや、それにしても、と思うぐらいに気が合っているように見える。

 最初の男があたしに、「いや、ありがとう。家の近くにこんな人がいたなんて。知れてよかったよ」とお礼を言った。あまりのことにあたしは目を剥いた。
 二人目の男はただニコニコしていた。彼がほんとうは何を考えているかは読み取れない。そんなお礼を言うほどの出会いだと考えているかどうか。この人は人に好かれることには慣れているだろうとは思うが。

 しかし最初の男は友達なんか要らないぐらいの人なのだ。お愛想を言うような人でもない。そもそも他人に興味が向かない人なのだ。相手が距離を縮めようとするといつも逃げていた。露骨に逃げているのを何度か見たことがある。
 彼が自分から距離を縮めるのは本当に珍しいことなのだ。遠い昔、あたしに対してもそれがあって、だからあたしたちはかろうじて友達でいるのだ、と思う。それがこんなに簡単に心を開いてしまうことがあるなんて。

 少し嫉妬が混じったような心持ちで、だけど不思議なものを見る感動があって、あたしはまたふたりをじいっと見ながら考え始めた。
 どうしてだろう?何が起こったんだろう?と。

おひねりをもらって暮らす夢は遠く、自己投資という名のハイリスクローリターンの”投資”に突入。なんなんだこの浮遊感。読んでいただくことが元気の素です。よろしくお願いいたします。