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【夢日記】なかなかたどり着かないし、帰る道も難しい

なんとなく仲間からはずれている?

夢の中で巨大な学園都市のようなところに滞在している。それはイベントのためであり、毎日とある大学のキャンパスに通って私たちはその準備をすすめているところだ。

眠る場所は宿舎だけれども、とても恵まれている。自分の家のようにして家族と一緒に過ごしている。同じプロジェクトの人たちがまとまって同じ建物に住んでいるので、連絡がいろいろとある。毎朝直通送迎バスに乗るための時間が違うので注意しないとならない。

ある朝、食堂に行ったらもう誰もいない。どうもあたしだけ連絡を見逃して置いて行かれてしまったようだ。とはいえ、あたしがいないと進まない部分もあるから、どうしても大学に行かねばならない。けっこう遠いのだ。しかしどうして誰もおしえてくれなかったんだろう?と考える。

路線バスを調べてバス停にたどり着く。初めてのことなので、バス停で人に聞いたりする。子供がいて、その子はその大学の付属に通っているため、同じバスだという。助かった、と思ってそのバスでその男の子と立ち話をしているうちに、目的地についたようだ。男の子が降りる。

バスには知り合いも乗っていた

一緒に降りようとした時、背の高い男の人が、すうっと近づいてきて、「ここは付属小学校の駅。大学はまだ先だよ」と言った。見ると同業者であり、知人であった。彼も大学に行くのか、と合点するが、しかしなんで同じバスの中で今まで声もかけずにいたのかな、と考える。彼は同じ宿舎の人ではない。久しぶりだからか。何か話しかけにくい理由でもあるのか。もっとも、こちらも気が付かなかったのだが。うっすらと疎外感がある。

男の子が「降りないの?」ときく。
「大学まで行かないとならないの。ここは小学校の停留所でしょ?」
「僕は中学生だよ」と彼は訂正してきた。
中学生だったのか。いずれにしてもここは付属校の停留所なので、降りずに、幼い顔の男の子に手を振る。

ようやく大学に着くがその中もやたらと広い。あたしは脚が悪くて歩きにくく、やっとのことで仲間のところにたどり着く。

狂気のギタリストと組まされる

こんなに遅れても問題ないならプロジェクトから外れてもどうでもいいのではないか?とふと思う。だって置いて行かれるほど存在感がないのだもの。それともあたしは嫌われでもしているのか?などと頭のなかにもやもやしたものが湧いてくる。

しかし着いたとたんにリーダーから、「あなたはTさんと組んでステージをやることになったから」と告げられる。Tさんはふだんは静かだがスイッチが入ると狂気のギタリストになる女性だ。何を考えているのかよくわからないので、とくに組みたいという人ではない。
「それで、あたしは何をするの?ボーカル?」
「たぶん」
「もう決まってるわけ?」
「決定です。あとはTさんと相談してください」

見るとTさんは仮のステージでもう狂ったようにギターを弾いている。ああなると絶対話しかけられない。第一言葉が通じなくなる。いったいどうやって相談するというのだろう?もしかしてTさんをあたしに押し付けるためにみんな先に行ってしまったのか?と疑問が湧くが考えても仕方がないので別の作業をしつつTさんが平常心に戻るのを待つことにする。
やることはいっぱいあるのだ。だいいちステージも何もかも、これから組み立てなければならない。舞台美術もやらなければならない。

Tさんの狂気モードはなかなか収まらない。
何時間も経って、おなかがすくような時間になってしまう。


苦手なギターをやろうと思いつく

相談抜きでやってうまくいく音楽なんてあるんだろうか?あたしの方も狂気のボーカルをやってればいいのか?まあなんとかなるだろう、と無責任に考える。仲間のほかの人に、Tさんと一緒にやれそうな人も見当たらないのだ。あたしがやるのが一番マシだろう、と自分を納得させる。

突然、念のために自分もギターを弾けるようにしておこうという考えが浮かび、そのために手続きをした。短期レッスンを予約したのだ。
狂気のギタリストは通常ステージ本番では必ずスイッチが入ることになっているが、万が一入らないと、今度は何にもしないというリスクがあるのだ。なんの伴奏もないところで歌うのはまっぴらごめんだ。こうやって自主的に準備すれば、仲間からはずれていても問題ないかもしれないとか、なおも考える。

娘に出っくわす

広すぎるし、仲間もばらけていて、帰りの直通バスのことも誰にも訊くことができない。でもあの路線バスで帰ればいいや、と考えて、歩いていると向こうから自分の娘がやってくる。
「こんなところで会うなんて。今何をしているの?」
「仕事で、この大学にしばらく通っているの」
「知らなかった。イベントに関わっているの?」
「うん」
などの会話を交わす。娘と仕事で接点があるとは思っていなかったので、うれしくなる。
「帰るんだったら一緒にどこかで食事していこうか?」と提案すると娘も乗り気になる。
「だけどもう9時だよ。この辺の店は閉まっちゃう時間だよ」
「ありゃ。じゃあ食事は明日にしようか」

夜の九時まで狂気モードに入ったままのTさんに感心してしまう。打ち合わせは明日にしようと思う。

娘はバスではなくて地下鉄で帰るという。毎日それで通っているから自信があるのだそうだ。みんなに置いてけぼりにされるあたしと違って大変たのもしく見える。でも帰る方向があたしとは違う。

帰りの道で死者の家に迷い込む

娘と別れて一人で帰りのバスに乗ったが、やたらと人が少ない。なんとそのバスは付属校のバス停までしか行かないらしく、乗客はそこで降ろされてしまった。
次のバスはいつ来るのもかわからない。

バス停の目の前に大きな邸宅があった。来るときには気が付かなかったが美術館のように大きな家だ。

そこから老年の男性が出てきて、あたしの名を呼んだ。懐かしい顔だ。
「久しぶりだな。俺はこの大学に付属からずっと通っていたんだ。だからここに住んでんだ。家に寄っていきなさい」と彼は言った。

親しくしていた人だ。だけどとうに亡くなったはずの人だった。
彼はあたしよりずっと年上なのだが、なんだか若返っている。

邸宅に入るとそこには室内プールがあり、どう考えても時空がおかしくなっていた。たぶん黄泉の国の死者の家だから、物理的な大きさには意味がないのだろうと思えた。

家の中のいたるところに本が積んである。亡くなった彼の本だが、本たちは死んではいないのだ。生かされたくて成仏せずに自己主張をしているのだろう。そんな風に見える。

本が教えてくれる

でもあたしにできることは何もない。これらの本を生かすために何かをすることも、こんな量の本を読みこなすこともできない。
本たちも大学とかに行きたくてうずうずしているだろうけれども、大学は今イベントの準備で忙しく、図書館の拡充のために動いているようには見えない。
これが終わったら何とかなるかしら?もしあたしにもう少し余裕があったなら?

本たちが細い廊下にずらりと並び、あたしを見ている。あたしは本の中身を見ずに、それが並ぶ方向を見て、帰り道のことを考えている。
たぶんこの本のある廊下をたどっていけば、宿舎に帰れるのではないかという気がしている。廊下は高台を下るように伸びており、下っていけば宿舎の方向であるはずだ。

「帰る道がわかるのか?」と亡くなったはずの彼が問う。
あたしは「たぶんわかる。もう行かなくちゃ。この本の廊下をたどっていけばいいと思う。会えてよかった」とこたえた。

バスに乗るのではなくて、死者の家の中を移動することで家に帰る思い付きはうまくいきそうに思えた。なにせ死者の家だから、空間や時間にはとらわれないのだ。この大きさそのものもただの見せかけなのだ。
おそらく亡くなった彼の器に合わせて大きな家になっているだけのことだ。生きている間も寛大な人だった。

宿舎は家ではない

思った通り死者の家の中には近道があって、あたしはまるでワープするように宿舎に戻ることができた。夫が部屋にいて、いつもの夜と同様におなかがすいているという。

一日中、疎外感を持ったり、死者の家に入ったりしてしたので、疲れていた。家族といつものやりとりをするとホッとするな、と思いながら、主婦の頭が立ち上がり、献立を組み立てようとする。
確か冷蔵庫にふりかけというか、魚のフレークみたいのが残っていたはず、と思いつく。あれを使ってしまわなくては、と思う。

台所に立って冷蔵庫を開ける。しかしそこには何もなかった。
あたしは唐突に、ここが自宅ではないことを思い出した。なぜそんな勘違いをしたのだろう?冷蔵庫だって形が違うのに。

個室に台所もあって恵まれているけどここは家ではなく、テンポラリーな宿舎なのだ。油断したら明日も送迎バスに置いてゆかれる場所なのだ。

明日は確実にバスに乗って仕事場である大学に行き、狂気のギタリストと打ち合わせもしなくてはならない。舞台美術も仕上げなくては。帰りには娘と食事にいけるだろうか?

どうして自分はこんなに油断してしまっているのか。家にいるつもりになるなんて、と思いながら買い物に出た。この時間になってしまったら、コンビニぐらいしか開いてはいないだろう。
(おわり)

おひねりをもらって暮らす夢は遠く、自己投資という名のハイリスクローリターンの”投資”に突入。なんなんだこの浮遊感。読んでいただくことが元気の素です。よろしくお願いいたします。