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自分を知る習慣を読んで感じたこと

自分の強みよりも自分の周囲の人を優先する

「尾崎さんは読書が得意ですね」
という言葉を投げかけられた。
私はそれまで、読書が得意なんていう言葉があるということを知らなかった。
知らなかったというより、読書が得意ってなんだ、という感じだ。
読書なんて、する人はするし、しない人はしない。
ちょっと本を読むことは好きだが、それ以上でもそれ以下でもない。
だから私は、周囲からは読書が得意という目で見られているようだが、自分はそんな考えでないかに取る組んだりしていない。

「自分の強みがわからない」
という悩みを抱えている人が、『自分を知る習慣』などの本を読むようだ。この本は、コンサルタントである土屋愛さんが書かれた本である。強み発掘のようなことを生業としているコンサルタントも、私の周りには数多くおられる上に、実際にそう言った悩みを持った人がたくさん存在する。
実際に自分の強みを理解して、自分の得意分野を仕事に活かしているという人を、ほとんど見たことがない。実際には、自分の強みを発揮するのは、自分が置かれた場所で発揮していることが多いように思う。

私は現在、放課後デイサービスで働いている。
障害を持った子供達を、放課後に預かるサービスである。この現場で、私は元寿司屋であるスキルを活かしている。寿司屋だけではない。今まで経験したスキルが活かせているのだ。
放課後デイサービス内では、『食育』というテーマがある。食事によって、育むことに重きを置いた取り組みの一つだが、その場面では私の調理経験が活きている。
その上、社員食堂でもスキルを活かすことができ、「こういう業界に調理経験者は貴重なんです」と言われることも度々ある。

私の父などもそうである。
現在70になる父は、マンションの清掃を仕事にしているが、もともと運送会社の管理職だった経験を活かして、そこに住む多くの住人から相談などを持ちかけられる『相談役』としても重宝がられている。もちろん報酬は、清掃に充てている時間のみの、時間給である。相談役としての時間は給料に含まれていない。しかし父は、そうした相談を持ちかけられることに対して、生きがいを感じているようだ。

このように、現在の置かれた場所で、自分の今までの経験を活かして、能力を発揮することが、『自分の強みを活かす』ということにつながるのではないかと思うのだ。
『自分のことを必要としてくれる場所』という、まるで天竺を目指すような旅を続けている時間は、私たち現代人にはないのである。

しかしながら、生活を継続しながら、自分の高みを目指すことは、悪いことではない。
ただ、当然であるが、その目指しているものに、ゴールが存在するのか否かを考えることは、さらに重要であることは言うまでもない。
私たちには、限られた時間がある。タイムリミットが存在している以上、ゴールを目指すことだけに時間を使うわけにもいかないのが現状である。
時間というのは、自分のためだけに使えるものばかりではない。
むしろ、それ以外に使っている場合がほとんどであり、自分のために使っていると思っっていても、実際にはそうではないこともたくさんある。
その理由は、実際に生活するためには、自分以外の人のサポートが重要だからである。もっと言えば、自分のことをサポートしてくれる人物のために、時間というものは使うべきなのだ。
自分の時間がないなんて、そんなことを考えていることが、はっきり言ってナンセンスである。

『自分の強みを活かす』という考え方自体が悪いわけではない。
自分の強みを活かすことは、自分の幸せにつながると考えることは、自然な発想だろうと思う。しかし、そればかりに偏ってはいけない。
自分を持つことは重要だが、自分の良いところがどこで、自分の悪いところがどこかということを、はっきり言えたところで、何が変わるのだろうか。自分の長所を問われる場面というのは、面接くらいなものである。
自分が、周囲の人のために尽していれば、自分のためにと、周囲も考えてくれる。
こうした、持ちつ持たれつの関係が、生活を作っていくのではないだろうか。

あるコミュニティの主宰者の中にも、勘違いと捉えることができる行動をしている人がいた。
この方は、自分が好きなことを発信していることで、その好きなことに共感してくれた人を集めることに成功した。しかしそこで、人を集めることが自分の強みだと結びつけてしまったのである。人とコミュニケーションが得意ではないにも関わらず、人が集まったことによって、それが強みだと勘違いしてしまったのである。
それによって、その主宰者は自分を失ってしまった。自分の強みというものは、自分で考えて出すものではなく、周囲が持ち上げてくれるものであることの証明である。
せっかく周囲が持ち上げてくれたものではなく、自分が得意だと思い込んで勘違いしてしまったことを自分の強みとして発信することによって、自分を大きく見せることができるため、自己満足感は高まるかもしれない。しかし、それだけになってしまう。

自分の置かれた場所で、自分の得意を発揮するだけで、見ていてくれる人は必ずいるのだ。
私の前職である警備会社の同僚は、毎朝の挨拶を元気よく、皆に行っていたところ、トヨタ関連の会社社長の目に留まり、秘書として雇われた。
目の前のことを、誠意を込めて行うことが重要だと、教えてもらった。

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