見出し画像

2023.11.9 NHKに対して「公開質問状(2)」を送付しました。

NHKから、2回目の回答が届いたことは、下記に記したとおりです。

その内容に疑義があることから再質問状を送付しました。
以下が、その内容です。

日本放送協会 
会長 稲葉延雄 殿
解説委員 岸正浩 殿
NHK解説委員室

2023(令和5)年11月9日
インボイス制度の中止を求める税理士の会
インボイス制度に反対する司法書士の有志の会

公開質問状〜NHKにおける消費税の解説について〜(2)

この度は当会からの2023年9月21日付で提出した「公開質問状」に対し、2023年10月17日付でご回答いただき、ありがとうございました。

そのご回答の中で<消費税が導入当初から「間接税」として社会一般に理解され、財務省のホームページでも最終的に消費者が負担し、納税義務者と実質負担者が異なる「間接税」として紹介されていることなど、様々な情報をもとに判断し、こうした説明にさせていただきました>とありました。

「間接税」とは納税義務者と租税負担者が一致しない租税を指します。

「公開質問状」で示したように、①消費税法の規定では、事業者に消費税の徴収義務はなく、消費者に納税義務もありません。事業者に対し、収受した対価の額から納付すべき消費税額を計算することが規定されているのみです。また、②東京地裁(平成2年3月26日判決)の裁判例では消費税を「対価の一部としての性格しか有しない」と示しています。さらには、③国会(2023年2月10日衆議院内閣委員会)において、金子俊平財務大臣政務官より消費税は「預り金的な性格であって預り税ではない」という答弁がありました。
これらに従えば、本体価格とは別に事業者が消費税を受け取ることはなく、消費者から消費税相当額を預かることもありません。そのため、貴協会のサイト「インボイス制度10月スタート どんな制度?課題と対応策は NHK解説委員室」(以下「上記サイト」とする)の中で「私たちが払った消費税は店などが代わりに納めています」という解説は①〜③の見解とは異なります。正しくは「消費税は、消費者が支払うのではなく、事業者が自らの売上から支払う租税」であると当会では考えます。

消費税とは、基準期間の課税売上が1千万円を超えた場合に、課税売上のうち110分の10を売上に係る消費税として計算した金額を基礎に、事業者が納める消費税を計算するものであり、基準期間の課税売上が1千万円を超えない場合には消費税は認識せず、取引金額の全てを所得税あるいは法人税の所得金額計算の基礎とするものです。

そもそも市場経済では自由競争が行われ、原価割れや利益を確保できないほどの低廉な値付けをせざるを得ない場合もあります。殊に長く続くデフレ下では、原材料が高騰したとしても消費税相当額を価格に転嫁することは容易ではありません。貴協会の説明である「私たちが払った消費税は店などが代わりに納めています」という見解は、現実の経済における価格決定の仕組みを無視した内容であり、誤った解説であると考えます。

以上を踏まえ、改めて次の4点について伺います。

1)上記サイトの中の「私たちが払った消費税は店などが代わりに納めています」という解説は、財務省のホームページを参照せず、純粋に上記①②③で示した消費税法の規定や裁判および国会での財務省の主張から導き出すことは可能でしょうか。

2)回答のなかで「ご指摘の判例や国会答弁は承知しておりますが」という文言があります。これは「消費税は、裁判例や財務省の国会における主張によれば、消費者が支払っているものではない。また、預かり税でもない。そのことは承知している」という意味なのでしょうか。
仮にそうだとすれば、貴協会としては、「消費税法の規定によれば、消費税は消費者が支払っているものではないことは承知しているが、消費税が導入当初から「間接税」として社会一般に理解され、財務省のホームページでも最終的に消費者が負担し、納税義務者と実質負担者が異なる間接税として紹介されているので、そのように説明した。」と理解してよろしいでしょうか。

3)免税事業者が「本来は納めるべき消費税を着服している」といった誹謗中傷を受けている事実をご存じでしょうか。また、結果的に御社の報道がこうした誹謗中傷を助長する可能性がある点について、どのようにお考えでしょうか。

4)「財務省のホームページ」や「社会一般に理解」されていることが、根拠法の解釈と異なる場合、報道機関としての義務である「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」、あるいは「国民の知る権利に奉仕する」という立場から、どのように報じることが望ましいとお考えでしょうか。

以上の点につき、改めて再質問させていただきますので、ご多忙の折に恐縮ですが、ご回答をよろしくお願いいたします。なお、回答期限は11月17日(金)17時までに、info@tnk-tax.or.jpまでお願いいたします。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?