非事業価値の計算
前回まではAppleの事業価値を計算してきました。
事業価値に非事業価値を加えることで企業価値を算出できます。
Appleという企業が持っている価値を計算してみます。
非事業価値とは
非事業価値は、企業の事業価値には直接関係しないものの、
価値としては株主価値に含まれるものとなります。
企業は様々な資産を持っていますが、その中でも事業に
関連のない資産部分を抽出したものが非事業価値となります。
事業に関連する資産の価値については、
事業価値として既に織り込まれています。
それではAppleの年次報告書を確認しながら見ていきます。
余剰現金、現金同等物及び有価証券
Cash, Cash Equivalents and Marletable Securitiesの欄を見ます。
Appleは記載の通り、余剰現金を様々なタイプの
有価証券として保有しているようです。
これらの資産は金利変動やインフレに対する
リスクヘッジという意味合いがあると思われますが、
事業価値を換算した際には登場しなかった資産です。
非事業価値として189,961百万ドルを計算に加えます。
非連結子会社の株式(非支配持分)
完全子会社の場合、売上等のデータは親会社の財務諸表に
連結されているため、個別の評価は不要です。
Appleの年次報告書にも以下のように記載があります。
反対に、支配権を持たない投資先については、
財務諸表に情報が連結されません。
そのため、親会社(今回の場合はApple)の事業価値とは
別で評価する必要があります。
ですが、Appleに関してはそういった被支配連結子会社の記述が
なさそうですので、今回は特に気にする必要はなさそうです。
非継続事業
継続予定のない事業、すなわち売却や精算が予定されている
事業は継続的な価値を生み出しませんので、
事業価値には含めずに個別に評価を行います。
非事業価値についてもAppleは特に評価すべき事業は無さそうです。
遊休不動産
事業価値に影響しない、事実上不要な不動産が該当します。
年次報告書からこの価値を評価することは難しいです。
Appleに関する内部的な情報を手に入れるか、年次報告書以上の
本格的な調査を行って評価する必要がありそうです。
よってここも評価なしとします。
Appleの企業価値
Appleの非事業価値は余剰現金、現金同等物及び有価証券の
価値のみで評価することとします。
前回計算した事業価値と合わせることで、Appleの企業価値を見積もります。
事業価値:3,167,123百万ドル
非事業価値:189,961百万ドル
企業価値:3,357,084百万ドル
おわりに
ようやくAppleの企業価値算出までたどり着きました。
次回は債権者価値を評価し、いよいよ一株あたりの価値を
計算したいと思います。
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