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非事業価値の計算

前回まではAppleの事業価値を計算してきました。

事業価値に非事業価値を加えることで企業価値を算出できます。
Appleという企業が持っている価値を計算してみます。

非事業価値とは


非事業価値は、企業の事業価値には直接関係しないものの、
価値としては株主価値に含まれるものとなります。
企業は様々な資産を持っていますが、その中でも事業に
関連のない資産部分を抽出したものが非事業価値となります。

事業に関連する資産の価値については、
事業価値として既に織り込まれています。

それではAppleの年次報告書を確認しながら見ていきます。

余剰現金、現金同等物及び有価証券


Cash, Cash Equivalents and Marletable Securitiesの欄を見ます。

Apple 年次報告書 2021/09/25
Note3 - Financial Instruments

Appleは記載の通り、余剰現金を様々なタイプの
有価証券として保有しているようです。
これらの資産は金利変動やインフレに対する
リスクヘッジという意味合いがあると思われますが、
事業価値を換算した際には登場しなかった資産です。

非事業価値として189,961百万ドルを計算に加えます。

非連結子会社の株式(非支配持分)


完全子会社の場合、売上等のデータは親会社の財務諸表に
連結されているため、個別の評価は不要です。
Appleの年次報告書にも以下のように記載があります。

Apple 年次報告書 2021/09/25
Note 1 – Summary of Significant Accounting Policies

連結財務諸表には、Apple Inc.およびその完全所有子会社(総称して「Apple」または「Company」)の勘定が含まれています。

反対に、支配権を持たない投資先については、
財務諸表に情報が連結されません。
そのため、親会社(今回の場合はApple)の事業価値とは
別で評価する必要があります。

ですが、Appleに関してはそういった被支配連結子会社の記述が
なさそうですので、今回は特に気にする必要はなさそうです。

非継続事業


継続予定のない事業、すなわち売却や精算が予定されている
事業は継続的な価値を生み出しませんので、
事業価値には含めずに個別に評価を行います。

非事業価値についてもAppleは特に評価すべき事業は無さそうです。

遊休不動産


事業価値に影響しない、事実上不要な不動産が該当します。
年次報告書からこの価値を評価することは難しいです。
Appleに関する内部的な情報を手に入れるか、年次報告書以上の
本格的な調査を行って評価する必要がありそうです。

よってここも評価なしとします。

Appleの企業価値


Appleの非事業価値は余剰現金、現金同等物及び有価証券の
価値のみで評価することとします。
前回計算した事業価値と合わせることで、Appleの企業価値を見積もります。

事業価値:3,167,123百万ドル
非事業価値:189,961百万ドル
企業価値:3,357,084百万ドル

おわりに


ようやくAppleの企業価値算出までたどり着きました。
次回は債権者価値を評価し、いよいよ一株あたりの価値を
計算したいと思います。

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