滝行で拾ったお姫様に振り回されてる件について。②〜姫のために桃を探す編〜

「久しぶりー!来てくれてありがとうー!」

マコさんは相変わらず笑顔でわたしを受け入れてくれました。

が。

会って分ほど経ってから3分ほどで顔が険しくなりました。

「どうしたんですか?」

「京都、行ったんだよね?うんそれは見える」

「ええ、ハイ。それで無事に姫を……」

「まだいるよ」

「……はい?」

「姫はね、まだ成仏してない」

キッパリと言い放つマコさんにわたしは絶叫しました。

「そうだと思ったーーーーーー!!」

そう、実は京都旅から帰ってきたあと「スッキリしないな……」とは勘づいていたんです。

しかし、京都の知恩院でお経をあげたあとはほんとにスッキリしたんです。それは事実です。
だからわたしは、てっきり姫はもう京都で心願成就したものだと思っていたのですが東京に戻って来た後、なぜかモヤモヤが残っていて……。

なんて言えばいいんでしょうか?洗濯機で綺麗サッパリ洗ったはずなのに、洗い残しがあるようで気になって仕方ない。そんな感じ。

なので、マコさんの言葉は納得も納得、大納得でした。

し、か、し!

「なんでまだ憑いてるんですかッ!?」

マコさんは悪くないのに、若干キレ気味で聞いてしまいました。

「うーん……」

マコさんは言いづらそうに苦笑すると、

「前世で一緒だったダーリンを探すために、しょうこちゃんの体が必要らしいよ」

目が点になりました。
 
「ダーリン……?」
「うん、ダーリン」
「恋人ってことですか」
「いや、旦那さんかも?」
「なんで成仏しないんですか?私わざわざお寺でお経まであげたんですけど……」
「あ、すごく気持ちよかったです!って言ってるよ」

温泉かよ!

「あ、あとね……」

マコさんは言いづらそうに、しかしちょっと笑いながら言いました。

「どうしても桃が食べたいってさ」

知らねーーーーーーーーーー!!

わたしはそのまま椅子にぐったりともたれかかりました。

「マコさんには申し訳ないですが、占いでこんなに複雑な気持ちになったのは初めてです……」

わたしはぐったりしたまま呟きました。

なんで成仏してないんだよ!京都旅なんだったんだよ!ダーリンてなんだよ! 

色々言いたいことはありますが、マコさんは何も悪くないので、そのまま帰りました。

「こんな時期に桃なんてあるわけねーだろ」

と、悪態をついていたわたしですが、駅構内の千疋屋でアッサリと桃を見つけてしまいました。

「……」

買うか?買わないのか?

→続く

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