友達がどんどんいなくなる。

仕事の話。

年始に同業の友人たちへ「明けましておめでとう」のLINEを送った。夏に会ったきりで、6年間の育休から復帰した友人Hから、想像してなかった返事が来た。

「実は今年いっぱいで辞めるの」

言葉が出なかった。

Hちゃんはわたしが教員になって初めての学校で一緒になり、初めての教員友達だった。お互いにどんなに辛くても、励まし合って、時には涙を流しながら歯を食いしばって働いてきた。友人というよりは戦友だ。

彼女は一教員としても優秀で、情熱がありながら冷静に的確な指導ができる貴重な人材だった。年下だけれど、彼女の仕事をわたしはとても尊敬していた。仕事面だけでなく周囲の人々にいつも優しく、落ち込んでいる人にそっと温かいお茶を出してくれる……そんな素敵な人だ。

惜しい。惜しすぎる。

彼女が教員を辞めるなんて、教育現場にとって大いなる損失だ。

でも、彼女が劣悪な労働環境の中でもがき苦しんでいたことも知っている。小さな子供を2人抱えて、仕事とのバランスが取れず思うような育児ができなくて泣いていたことも。

彼女が結婚した時も、子供ができた時も、自分のことのように嬉しかった。

だから、彼女の苦しみも自分のことように辛い。

できるなら今すぐ抱きしめてあげたかった。

そして、人を人とも思わない学校の労働環境が憎い。

「お疲れ様。またゆっくり話そうね」

バカみたいな定型文しか返せない自分が、また情けなかった。

職場からどんどん友達がいなくなる。

教務に叱られながら頑張っていたあの子も、同僚に八つ当たりされても踏みとどまっていたあの子も、人員不足という醜くて厚い壁の前に辞めていく。まるで壊れたネジを捨てるみたいに、わたしたちは人間扱いされない。

わたしはあと何年踏みとどまれるだろう。

年若い人達のために、分厚い壁に少しでも亀裂を入れたい。

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