人生が順調すぎるあの子の本音。

今日、職場の後輩たちと3人で女子会をした。

年次でいうとわたしの方が倍くらいキャリアがあるので他2人の女子はまだまだフレッシュな20代である。若いけれど教育業界という戦場を生き抜くだけのガッツと体力がある。10才以上年下の彼女たちをわたしは同志として尊敬し、頼りにしているが老婆心からたまに姉のように振る舞いたくなる時がある。

仕事からの帰り道。

1番年下の後輩とひと足先に女子会会場に向かった。Kさんと呼ぶことにする。

Kさんは有名な中高一貫女子校を卒業した後、国立大学の教育学部を卒業して一発で採用試験に卒業したというなんとも羨ましい経歴の持ち主である。

彼女もわたしも去年度はけっこうハードなクラスを担任していて、トラブルもクレームも同僚とのいざこざも嫌という程経験した。同じ戦地で戦い、生き残った真に同志なのである。

「まぁ大変なクラスだったけど3月になると手放したくないなーって思っちゃったよ。大好きなクラスだった」

わたしの呟きに彼女はこう返した。

「……わたしは、去年そんなこと一度も思いませんでした。早く卒業して欲しいってそればっかり思ってた」

その時、Kさんの顔は少し怒っていた。そしてそれ以上に悲しそうだった。卒業生をもたされる誉れを彼女は笑顔で受け止めることはできなかったようだった。

卒業生をもてて羨ましいなぁと思っていたわたしだが、ちっとも幸せそうじゃなかった彼女の顔を見て、教員としての幸せってなんだろうと首を傾げた。

順風満帆に見える彼女もまた地獄を抱えていたのだ。その地獄は彼女にしか分からない。

女子会の会場のレストランで子供みたいにパスタをむしゃむしゃ食べるKさんをなんだかよしよししてあげたくなった夜だった。


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