おばあちゃん、ダイヤモンドになる。完結編

約10ヶ月後。

遺骨ダイヤモンドの会社の方から電話がありました。

「出来上がったので、郵送でお送りします」

とのこと。

な、長かったー!半年でできるって言ったじゃんよ!長すぎて父は完全に詐欺に遭ったと思ってました。そりゃそうだ。

そして、2023年秋。

長旅を終えたおばあちゃんがわたしの手元に帰ってきました。

郵送で割れ物注意のシールが貼られた段ボールを配達員さんから受け取ると、わたしは自分の部屋で箱ごと抱きしめました。自然と涙が溢れました。

微かに震える手で群青色の箱を開けると、木製のリングケースが入っていました。そっと蓋を上げると、白銀の美しいダイヤモンドの指輪がキラキラと輝きました。

骨の性質によっては黄色や青色になることもあるそうです。「何色かな」と到着までドキドキしてきましたが、おばあちゃんの清らかな人生そのもののように真っ白なダイヤモンドでした。木製のリングケースの中のクッションも天使のほっぺたのようにふわふわです。

さっそく父に電話しました。 
「よかった、よかった」
と、言葉は少ないですが感激しているのが分かります。

「おばあちゃん喜んでるかな」
「喜んでる、喜んでる。喜んでるに決まってる」

父は珍しく興奮した様子でそう言いました。

実は指輪とは別に、もう一つダイヤモンドを作りました。つまりダイヤモンドを2つ作る&買うという思いきったことをしました。片方のダイヤモンドは父に託しました。

父は「親戚には秘密にしろ」とわたしに言ったくせにおばあちゃんのお兄さんには見せたとのこと。おい、話が違うだろ……と思いましたがお兄さんは「みっちゃん(祖母)こんなに綺麗になって帰ってきた」と喜んでくれたので、まぁヨシとしましょう。

さて、これで約一年かけた遺骨ダイヤモンドミッションは完遂しました。

今はなるべくどこに行く時もおばあちゃんの指輪をしています。事情を説明し忘れた友達に「いつ結婚したの!?!?!?!?」と驚かれました。違います。

何十年も同じ家で頑張っていたおばあちゃんは、これでどこへでも行けることになりました。

ある方に「貴方が活躍すればするほどおばあちゃんは沢山の場所に行けるのだから、頑張りなさい」と激励していただきました。

本当にその通り。

おばあちゃん、色んなところに一緒に行こう!


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