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「えんちょうせんせい」の謎がまだ、僕の心に残ってるんだ。

高校一年くらいの時に、親しい友人間で「おかあさんといっしょ」が大ブームになった。それは、番組のとあるほんの一瞬が面白くて仕方がなかったからだ。

当時「おかあさんといっしょ」には体操のお兄さんとして「ひろみちお兄さん」が出演していた。
氏がメインとなるコーナーといえば、番組ラストの体操だろう。
たくさんの子供達と一緒に歌い、踊り、楽しもうというコーナーである。

話題になったのはこのラストの体操だ。

最近では「ブンバボーン!」や「からだダンダン」というふうにリニューアルされているが、当時は「あ・い・うー」という楽曲だった。
いかにも子供向け番組らしい軽快なリズムの歌を歌いながら、全身を使った振り付けを子供たちと踊る。
歌の途中、タイトルの伏線を回収するかのように「あいうえお」を使った簡単なあいうえお作文的な歌詞が登場する。

あわてたアヒルが「あ!」
いたずらイルカが「い!」
ウサギがころんで「う!」
えんちょうせんせい「え!」
おこったオオカミ「お!」

はい、ここである。
ここでは「あ!」「い!」「う!」「え!」「お!」それぞれに固定の振り付け、というかポーズが用意されている。
「あ!」であれば慌てているような、顔の横で手のひらを広げたポーズ、なんていう風に。

さて問題は「え!」である。
えんちょうせんせい、「え!」。
このときひろみちお兄さんが取るポーズがとてつもなく謎なのである。
右手を頭の後ろにやり、左手をピンと伸ばし、左斜め前を向く。無表情で。
これが、「えんちょうせんせい」なのだろうか。見れば見るほどに分からなくなってゆく。
もしかしたら僕たちがそうだと決めつけているだけで「えんちょうせんせい」とは「園長先生」では無いのではないか。子供向け番組だからと勝手に紐付けて脳内で変換しただけではあるまいか。
「延長線性」とか「延長戦制」とか「End 挑戦 セイッ」とかいう難しいメッセージが込められているのではないか。
そうやって思考を深めていくと、謎のポーズを取りながら無表情で虚空を見つめるひろみちお兄さんの顔がなんだかとてもおそろしいものに見えてくる。

このシュールさが僕らの間でたいへん話題になり、同世代の子らが「昨日のロンハーみた?w」なんていう会話をしているとき、僕らだけは「昨日のおかあさんといっしょ観た…?」なんて話をしてゲラゲラ笑っていた。家で観たときには母に心配されるくらい笑っていた。

あれから十年以上経った。
それでも今もまだ、知っているなら教えてほしい。
「えんちょうせんせい」の真相を。


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