あとがき。

父の死から一週間が経った。
酷く雨が降った日もあったのだけど、今日はまた雲ひとつない快晴になった。

父はこんな天気が大好きだった。
こんな天気の日には「どこか行きたくなる」と言い、止めなければバイクでひとりでも出掛けそうなくらいだった。

この一週間は、様々な手続きに追われた。
それこそバイクの処分や、父名義になっている車等のこと、生命保険や、そういう諸々。
人がひとり死ぬということは、遺された者にとって休まる隙を与えないくらいにとても忙しいのだな、と知った。

実感がない、というものとは違う意味で、とても不思議な感覚がある。
父が死んだことは理解している。この目でその瞬間を見たし、焼かれて骨になった姿も見た。

だけど、父はそこらにいる気がしてならない。
お気に入りだったソファの上に、車の運転席に、テレビの前に。至る所に。
面影では無い。きっとほんとに、そこにいる。

触れる事も、話すことも出来なくなってしまったけれど、不思議なくらい寂しくない。
あの死の瞬間を思うと胸が苦しくなる時もあるけれど、それもずっとではない。

大丈夫、一緒に生きている。
この目や耳が感じ取る全てを、共有出来ている。

切ないけれど、悔しいけれど、悲しいけれど。

父の名前は「茂実」。
その名の通り、茂みに実るたくさんの生命が、優しい風に揺られている。雲ひとつない青空の下で。

そして、また新しい生命が芽吹いてゆく。
当たり前のように、とても自然に。

そんなイメージが、今目の前に浮かんでいる。

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