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2023年私的ベスト映画ランキング&目録

本ランキングは私個人の主観により選ばれた、2023年でもっとも印象的だった映画のランキングです。
客観的な完成度でランキングしたわけではなく、あくまで初見の、印象に残ってる順。二度見したら評価が変わるかもしれません。映画という存在は常に流動的なので。
ここに載ってない映画は、劇場で観なかった映画になります。本当は年内に『PERFECT DAYS』を観に行きたかったのですが、行けませんでした。来年見たら、このリストにそっと加えておこうと思います。

追記:加えました。(2024/1/15)

一位から順になっています。大晦日に暇な人、除夜の鐘を待つ間、ダラダラ読んでください。来年も良いお年を。


1位 エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス

まさかのカート・ヴォネガット。しかもそれがmeetsカンフーして、マルチバース同時接続。意味わかんないでしょ、これが未来よ。

同率1位 PERFECT DAYS

ヴェンダースの作品のなかでも、屈指の完成度で最高傑作ではないかと思います。
平山さんの生き方は、ヴェンダースと私の憧れである。

2位 生きる Living

原作は黒澤明なのですが、中身はびっくりするくらいカズオ・イシグロ。これほどまでにカズオでイシグロだったのかと。

3位 ザ・ホエール

ブレンダン・フレイザーは本当にいい俳優だと思った。

4位 ザ・クリエイター/創造者

これは撮影方法がエポックな作品で、ヴィジュアルも好みな映画だった。

5位 カード・カウンター

ポール・シュレイダーのキャラ造形好きかも。なんか共感する。心のどこかには、いつもタクシードライバーのトラヴィスがいるんで。

6位 ナポレオン

僕がリドリー・スコット贔屓なだけです。ディレクターズカット版が待ち望まれる。

7位 怪物

これは本当によくできた映画だと思う。学校の先生はつらいよ。

8位 ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーvol3

新生DCユニバース楽しみですね。俺たちのガン監督ならやってくれる。

9位 首

北野武の映画、全然みたことなかったから、来年勉強しよっと。

10位 君たちはどう生きるか

観たけどnoteの記事にはしませんでした。鈴木敏夫がせっかく前情報が一切ないという面白い状態を作ってくれたので、何か感想をあげるのも憚られたのです。
それに宮崎駿に明るくないし。
あと一つ言いたいんだが、パンフレットにはいっぱい食わされたよ。全くやってくれるぜ……。

11位 インディ・ジョーンズと運命のダイヤル

割と良かったんだよねぇ、インディ・ジョーンズ。こういうアドベンチャー映画もっとやってほしい。

12位 ザ・フラッシュ

思ってたよりも良かった映画。切ない系のタイムトラベルものだった。

13位 ほかげ

こういう映画を娯楽映画と一緒のランキングに入れるのってすごく難しい。

14位 ジョン・ウィック:コンセクエンス

真田広之がめっちゃかっこいい。『ブレット・トレイン』のときにハマった。遅い?

15位 スパイダーマン アクロス・ザ・スパイダーバース

まじで前作見返したらCGのクオリティが全然違うんですよね。たった数年でどうなってんだ。予告しか見てないんですがディズニーの『ウィッシュ』が、今までのディズニーのフォトリアルなCGから、2DルックのCGになっていて、きっとこの映画の影響だろうと思います。もうリアルなCGは頭打ちなんだろうな。

16位 フェイブルマンズ

あまりに撮るのがうますぎて、ホームビデオさえ面白い映画にしてしまうスピルバーグ。もう怖いレベル。

17位 ミッション:インポッシブル デッドレコニング Part One

これもnoteに感想残さなかったけど、part2の時にいっぺんにやればいいよね。
この映画の見どころは確実に、トム・クルーズが断崖絶壁からダイブするシーンなのですが、映画が公開する前にそのシーンのメイキングが予告として出回っていて、ここ実写なんですよ!というネタばらしをしたうえで観ることになる。
わざわざバラさないと、実写で撮ったことがわかってもらえない時点で、トム・クルーズのパフォーマンスは失敗なのではないか?

18位 火の鳥 エデンの花

スタジオ4°cのアニメはセンス良くて好きだ。

19位 ボーンズ・アンド・オール

いま思うとこれはクィア映画だったのかもしれない。

20位 キリエのうた

この後『花とアリス殺人事件』観たんだけど、アニメ作って欲しいかも、岩井監督には。

21位 ノースマン

アニャ・テイラー=ジョイのヒロインが良かった。アニャは目が大きくて印象的な俳優ですよね。マッド・マックスまじで楽しみにしてるからな。

22位 エンパイア・オブ・ライト

ロジャー・ディーキンス100%の美麗映像が拝める映画。英国臭も強め。

23位 JFK/新証言 知られざる陰謀【劇場版】

オリバー・ストーン監督、執念の一本。相変わらずケネディ暗殺事件は怪しいままなのですが、本作のキモはオリバー・ストーン監督のケネディへのリスペクトと愛を感じられるところです。ドキュメンタリーですが胸が熱くなります。

24位 AIR エア

スポーツメーカー、ナイキの話。実話ベース。
ナイキを一躍有名にする、エアジョーダンシリーズ誕生秘話を描く、お仕事映画って感じでしょうか。
映画そのものが面白いというより、ナイキ自体の話が面白かったのかも。

25位 名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊

悪くはないけど、小粒で地味な印象がどうしてもあるなぁ。

26位 キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン

スコセッシ映画の面白さというか凄さって、編集の巧みさだと思う。
ここまで気持ちいいとリズムとテンポのある映像ってなかなかない。スコセッシと
長年タッグを組んでいるセルマさんという編集の方が凄腕なんですよね。

27位 バビロン

誰だったか忘れたのですが、これは「コヤニスカッティ」と同系列の、映像と音楽の融合を目指した映画なんだ。というレビューに「ほぅ」と思った。デイミアン・チャゼル監督のフィルモグラフィ全体がそうですね。

28位 バービー

バービーのテーマには共感するのですが、一つのファンタジー映画として見たときに、ガーリーな世界観とハイテンションなギャグが好みかと言われると、よくわからない。

29位 ヒッチコックの映画術

内容自体はふーん。という感じなんです。試みは面白い。

30位 ウォンカとチョコレート工場のはじまり

めっちゃチョコ食べたくなる映画だった。

31位 アステロイド・シティ

ウェス・アンダーソン監督の最新作。
鑑賞したものの、何をどう語っていいかも分からず、記事にはしなかった。
自分のなかではスベッてしまった印象。

32位 シン・仮面ライダー

仮面ライダーに詳しくなかったのが失敗だったなぁ。勉強して見返したいところ。

33位 トリとロキタ

アフリカ系フランス移民の姉弟が、やむを得ず闇バイトする話。
ドキュメンタルな迫力があって、理不尽な世界の現実そのものを見せられるので、沈痛な表情で劇場を後にせざるを得ない。

イチケイのカラス

これは僕の趣味で観た映画じゃなくて、まあ最下位というか選外という感じです。
ひどい映画ってわけじゃなかったと思います。

番外編

リバイバル上映で観た映画はランキングから除外しました。

ラストエンペラー

これはほんとすごいね。冒頭の紫禁城から奢侈のかぎりを尽くした映像の乱舞。

バニシングポイント

最新の映画を劇場鑑賞する傍ら、70年代のニューシネマを見たわけですが、この時代にしかなかったアツさみたいなものを感じて、ちょっと羨ましい。

ジャンコクトー映画祭

コクトーは1作品だけ見逃してしまった。

鈴木清順 生誕100周年記念 『浪漫三部作』4Kリマスター 

とくに『ツィゴイネルワイゼン』がよかった。絶対また見返すと思う。

2022年にみた映画のリスト

一年の始まりとかにnoteを始めてたら良かったんですが……。2022年の10月から12月にみた映画の一覧です。順不同。

マッド・ゴッド

人形アニメって本当いいよなー。勢い余ってマイフェイバリット三英傑漫画に入る『ドロヘドロ』の話までしちゃってるよ。

アバター:ウェイ・オブ・ウォーター

3作目以降も作ってるんでしょ? どうなるんでしょうね全く。

MEN 同じ顔の男たち

これ完全にミニシアター案件だと思うんですが、ムービックスとかでやってました。カップルが見に来てて、そのときの彼氏の方はきっと大変だったでしょう。彼女にかっこよく解説とかできたんだろうか。心配。

すずめの戸締まり

新海誠の直近の三部作で何が一番良かったかなー。って改めて考えたら『天気の子』かもしれない。セカイ系がどうとか、小難しいことはどうでもよくて、雨と女の子という組み合わせ、それにより発生するダイナミズムを追求した映画として高く評価したい。可愛い女子と雨宿りしたいだけの人生だったよ。

ある男

邦画のなかでも快作の部類。娯楽でありながら社会派という、凄まじく完成度の高い一本。画作りも徹底してる。エンディングでJPOPが流れない。最高だ。

RRR

この映画見終わった後、カレー食べた。

西部戦線異常なし

これはNetflix配信の映画で、劇場で観た映画じゃないですねー。
そんでこのリメイクは、とにかく素晴らしい。間違いなく名作。

今年の総括

映画ノスタルジー

まず今年の初めの動きとして、コロナの残像があるなか、「映画」とは何か?を問う三作、「バビロン」「エンパイア・オブ・ライト」「フェイブルマンズ」が連続で公開されました。
実際コロナの影響で各地の映画館が潰れたりもして、新様式の生活に切り替えなきゃいけない現実と、映画館で映画を観る体験がノスタルジー化しているのではないかと思います。

多様性と怪物

そして大きな関心を集めるのが、「多様性」をめぐるテーマで、まず一番注目されたのは「バービー」ではないでしょうか? 作中の構造そのものは、フェミニズム運動の総括のような感じになっていて、何も知らない人でも流れがざっと掴めるという優秀な作品です。
それに加え、「ボーンズ・アンド・オール」と、未見なので何も言えないのですが朝井リョウの「正欲」など、ちょっとクィアっぽい感じをつつく映画が浮上してきました。他にも「ザ・ホエール」「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーvol3」と、「怪物」と呼ばれる人たちにスポットが当たっているのに気がつきます。是枝監督の新作も、そのもの「怪物」というタイトルでしたね。

パラレルワールドからマルチバースへ

最後に付け加えるなら、「マルチバース」をめぐる想像力が非常に活発だった。
アカデミー作品賞を受賞した「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース」「ザ・フラッシュ」。「マルチバース」の概念自体は、すでに50年台のSFにあったりするのですが、「アベンジャーズ エンドゲーム」あたりから、並行世界パラレルワールド多元宇宙マルチバースへ変わって、定着した感じがあります。

SFではギャレス・エドワーズ監督が、「ザ・クリエイター/創造者」で新しいインディペンデント映画の可能性を切り開いてくれました。低予算で野心的なSF映画の出現を待つばかりです。

追悼

余談ですが、今年亡くなった方を追悼したいと思います。
まず、俳優のライアン・オニール。『ザ・ドライバー』という映画が好きで、寡黙、というか映画の中でセリフがほとんどない逃し屋のドライバーを演じているのですが、バチクソ渋くてかっこいいので見てください。『ベイビー・ドライバー』やライアン・ゴズリングの『ドライヴ』なんかにも影響あると思います。『ペーパー・ムーン』も娘と共演していて必見です。大好きです。

あと調べたらフリードキンも亡くなってるんですね……。『エクソシスト』は言わずもがな、『恐怖の報酬』のリマスター版を映画館で観て、すごく面白かった記憶があります。ニトロを満載したトラックの運ちゃんが、道なき道を爆発しないように運ぶ映画です。わざわざ不安定な吊り橋を強引に渡ろうとしたりするので、緊張感が凄まじいです。

他にもジョン・ウィックでコンチネタルホテルのコンシェルジュ、シャロンを演じたランス・レディックとか。ダンブルドア校長も。R.I.P。

来年注目したい映画

さて来年公開の映画ですが、まず一月にいきなり、ヨルゴス・ランティモス監督の「哀れなるものたち」を見にいくことになりそうです。正月気分が吹き飛びそう。楽しみ。
さらに2月にはアリ・アスター監督の「ボーはおそれている」。おそれているのはボーだけでなく、全観客でしょう。

3月には待望の「DUNE 砂の惑星 Part2」。ハヤカワ文庫でDUNEシリーズの絶版だった続編が復刊されているので、Part2を見終わったテンションで、そのまま原作の続きを読みたいですねー。
「スパイダーマン スパイダーバース」も完結編が今年公開なので、答え合わせができます。

続編はまだまだあります。ホアキン・フェニックスの「ジョーカー」もそうです。「ジョーカー」が巻き起こした賛否ある結末は、そのまま乗り越えるべき課題として残された感じがあったので、トッド・フィリップス監督にはぜひアンサーを示してもらいたい。

ピクサーからは、俺をブチ泣かした「インサイドヘッド」の続編が公開されるそうです。サピエンス全史のハラリ先生が、「自由意志は無い」というテーマをピクサーがやってしまった…。と戦々恐々しながらこの映画を取り上げていたのを覚えています。結構、知的な映画でした。ジョン・ラセター不在でどうなるか、少し不安ですが。

日本のアニメだと、「聲の形」などの監督、山田尚子の新作「きみの色」が気になるかな。アニメーションは「平家物語」でタッグを組んだサイエンスSARU。湯浅政明監督のアニメを手がける、フラッシュアニメを製作する会社ですね。

そしてついにやってくる大本命「マッドマックス:フュリオサ」。テザートレーラーだけでもうテンション上がってる。実は「怒りのデスロード」を劇場で見逃したという後悔があったので、今回大スクリーン、大音響で鑑賞できるのが楽しみです。というか前作を再上映してもいいよね? してくれない?

あと「オッペンハイマー」も日本での公開が遅れていて、来年には見れるといいのですが。マシュー・ヴォーン監督の「アーガイル」も良さげ。

それでは改めて良いお年を。

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