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「とりあえず3年頑張った方が良い」は正しい

世の中は大転職時代、「『とりあえず3年』なんて大嘘だ!ブラックな職場からは直ぐに逃げ出そう!」といった、転職を肯定する論調の記事が巷には溢れている。僕はあえてこの意見に異を唱えたい。

ちなみに、僕は転職未経験者である。システムの受託開発を取り扱う中小企業に新卒で入社し、今年で勤続7年目のシステムエンジニアである。今現在、転職の意思はない。転職しようと思ったことは数多くあるが。

こんな人に届け

この記事、こんな人に読んでもらいたいと思っている。

  • 働き始めて半年くらい経ったが、なかなか仕事で成果を出せず「向いていない、やめたい」と思っている人

  • 働き始めて2~3年経ったが、特に自身の成長を感じらない人

執筆に至ったモチベーション


「とりあえず3年」などのキーワードでGoogle検索してみると、転職を礼賛する記事が溢れていて驚いた。「今の環境を我慢する必要はない!すぐに転職だ!」みたいな、ポジショントーク丸出しの転職サイトの記事を見てとにかく違和感を覚えた。


確かに、若い人材の流動性を高めて、転職市場の人的資本の供給を最適化するためには転職を促すことは理屈として正しい。しかし、一労働者の立場に立って考えると、せっかく選んだ環境なのだから、きちっとその環境で成果を出すべき、というのがあくまで私のポジションであり、新卒で入社した方に対してもそう思っている。


私の経験

私の話をしよう。2016年に新卒でシステムの受託開発の会社に入社した。
システム開発、プログラミングなど全くの未経験の状態でIT業界に飛び込んで、一から修行の日々が続いた。当然、海千山千の先輩方に敵うわけもなく、システム開発における最下流の仕事である単体試験を毎日淡々と消化する日が続き「なんで俺がこんな仕事しなきゃいけないんだ」と悶々と独り言つ日々を送っていた。(あの時おれ、どんな顔して仕事してたのか、想像もしたくない。)

転機は4年目。今までは担当機能のプログラミングばかりしていたが、プロジェクトの進捗をきっかけに、システム結合試験のとりまとめを任されることになった。一段高い視点からシステムを俯瞰することがきっかけで、今まで学んできた知識、失敗経験、先輩の教え、あらゆることが繋がって、何をどうすればいいか、手に取るように分かる経験をした。そこからはあれよあれよと成果を上げ、社内での評価も上がっていった。

「とりあえず3年」を肯定する話について、感じること

よく言われるのが、「1年で仕事のイロハを覚えて、2年で成果を積み重ねて、3年経ったら自分で仕事を回せるようになる」みたいな話だ。そりゃ理想ではあるが、でもこれは、3年間掛けて着実に成長しているケースを前提にしている。

しかし、僕に言わせればこれはなんとも現実味がない。後述するが、新人、若手の成長はこんなに順調にはいかないからだ。

成長は順調にはいかない

現実を見るにあたって、認識して貰いたいことはずばり、成長曲線のグラフである。その「成長曲線」がこれ。

成長曲線

最初は殆ど成果がでない低成長期間が続き、ある時、爆発的に成果が出ることで成長は実現していく、というものである。そして、これは自分が思い描く「堅実・着実な成長」には往々にして一致しない。

こればかりは体験しないとわからないと思うのだが、仕事ができるようになる瞬間というのは、ある日(ある期間)突然訪れるのである。今まで覚えていた知識が繋がって、何をどうすればいいか手に取るようにわかる瞬間が来るのである。進撃の巨人のアッカーマン一族さながらである。

そして、成長曲線の形状を見れば一目瞭然ではあるが、その爆発的な成長が来るまでは、苦しい微成長・低成長の日々が続く。この悶々とした期間が「とりあえず3年」の「3年」なのだと思っている。

つまり、「とりあえず3年頑張った方が良い」の私的な解釈は「成長曲線を1サイクル回すまで頑張った方が良い」なのである。そして、この急成長の期間を乗り越えずに転職してしまうと、職種、業界、職場の人間関係、社内のローカルルールなどがリセットされることで、低成長期間を一からやり直しになってしまうと私は考えており、それこそが避けるべき事態だと考える。

この成長曲線は成長の1サイクル分のみ図示しているが、本当は長い社会人期間の中で、この「低成長⇒急成長⇒低成長⇒・・・」を延々と繰り返していくものだと認識している。だからこそ、最初の職場で少なくとも1回はこの成長曲線の1サイクルを回して欲しいのである。このサイクルに入ってしまえば、どんどん次の成果を出したくなり、仕事に夢中になる瞬間が来るはずである。その時には、ネガティブな転職の意思はなくなっているのだ。

じゃあ、その成長曲線の1サイクルを早めるためには?


私が思うに、成長のサイクルを早める方法は2つである。

  1.  上司・先輩と同じ方向を向くこと

  2.  客観的なフィードバックを受けること

上手く成長していない人に私の観測上最も多く見られるのが1の「上司・先輩と対立している」ケースである。本来、上司・先輩は、一緒に成果を出していくための仲間であるはずなのに、上司・先輩からの指導をネガティブ、悲観的に捉え、萎縮してしまっているパターンだ。これでは成果など出るはずもない。

そのほかには、自己流で仕事を進めている人も多い。プライドが高い人に多いのだろうと思うが、新人・若手の内は積極的に上司から教えて教えを乞うのが良い。あなたがいくら優秀でも、20年のベテランの経験には基本的には勝らない。そこは認識しておくべきだ。

それでも論外なパターンはある


それでも、やっぱり3年を待たずにやめた方が良い会社というものも確実にあると思う。速攻退職しよう。具体的には以下。

  • 残業代が出ない

  • パワハラ、セクハラが常態化

  • 慢性的な高稼働

今の時代こんな会社は少ないと思う。本記事の読者の方々もさすがにこんな会社に勤めているわけではないだろうと思う。

終わりに

「とりあえず3年頑張った方が良い」っていうのは新社会人に対して頻繁に投げかけられる言葉ではあるが、その本質は「一つでも成功体験を積んで成長を実感するまで頑張った方が良い」という話だと僕は解釈している。

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