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【マッチレビュー・ブログ】攻守で収支は合っているか 19-20PremierLeague#8 リバプール×レスター

syuです。
不定期のレスター研究。先週のリバプール戦を振り返ります。

前回の振り返りはコチラ!

【スタメン】

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【前半】守備での支出と攻撃での収入

お互いに人を捕まえてビルドアップを妨害しようぜ!で始まったこの試合。
前半はリバプールが主導権を握って試合を進める展開だった。そのリバプールのボール保持×レスターの非保持から振り返りをスタート!

レスターは前からハメに行くときとブロックを作るときで並びが変わる。
ブロックを作るときは、4-5-1の並びで中盤5人がフラットに並ぶように構える。今シーズンのここまでの戦いではアンカーはアンカーとして振舞っていたので、対リバプールという点で変化を加えたポイントだった。
アンカーのエンディディを含めた5枚でラインを作ったのは、恐らく相手のアンカーであるファビーニョをケアする為の物だったと考えられる。

前に出た時は左SHのマディソンが内側に入りリバプール右SBのアーノルドが浮いた状態に。浮いたSBに対してはIHのティーレマンスが気合のスライドで寄せに行く。SBのチルウェルは対面にマネが居る為に寄せることは出来ない。マディソンもCBロブレンの前に立つとティーレマンスに対して「もっと出てこい」のジェスチャーをしていたので、そういうことみたい。間に合わなかった時のやっぱり感はあったけれど。。

レスター前プレ

基本的にはレスターはブロックを形成→前に出ていくという順序だったと思うんだけど、プレーが切れてから再開するまでのスピードが速くて、特にリバプールGKからのリスタート時は前にそのまま残った状態でプレー再開を迎えていたので、ブロック作るのが基本。という約束が本当にあるのかは確信を得られなかった。

でもリバプール的には、レスターを前に引っ張り出したかったと思う。
前に引っ張り出して狙う場所は浮いたアーノルドか中盤-DFラインの間のスペース。前者は上述の通りだが、そこに届けるパスが少しずれてしまいリバプールとしてはスピードを上げた攻撃は展開できず。後者については、下記記事で振り返った内容でボーンマスがやってきたときの形に似ていた。

前半に見られた展開だとマネが内側に絞って受けるシーンが目立ち、落としてレスターのゴールへ迫る攻撃を展開。エリア内からのシュートまでは漕ぎ着けずミドルシュートで攻撃を終えることが多かったと思う。

第3レイヤー空く

前半はリバプールの時間帯と言える時間が長かったのだけど、それはリバプールが高い位置からプレッシャーをかけ続けたのが大きな要因だったと思う。後方から繋ぐ力はあるけれど、リスクを負うのはまだ早いということなのか、リバプールの前線の並びの変化が想定外であったことが原因なのかは分からないが、特に序盤は後方から蹴り出すシーンが目立つレスターのビルドアップだった。

レスターはSBが前を向いてボールを持ったところから前線を交えたポジションチェンジによって素早く前にボールを届ける攻撃が始まるのだけど、そういったプレーはリバプール両WGのフィルミーノとマネによりSBに制限をかけられ、両SBのアーノルドとロバートソンがSHを捕まえることで受け手と出し手が封じられてしまい、綺麗に繋げたシーンは、15分のペレイラ→ヴァーディ→バーンズと繋いでマディソンが合わせられればというシーンが前半のハイライトだった。

その中で、レスターは左サイドのIHとSHの立ち位置をチェンジ。プレッシャーをかけてくるリバプール3CHの裏でマディソンがボールを受けて、攻撃を展開していった。

レスタービルド

上図のプレーからレスターのCKが続くもチャンスを作り出すことはできず、前述した通りレスターが主導権を握る時間は短かった。
リバプールは相手の守備の穴を作ろうと大外→大外とボールを動かして機会を伺う。前進のしやすい右に預けて左に展開する流れが多く、そこから縦に行くか中に戻してもう一度外に振って、精度の高いアーリークロスやアタッキングサードへ侵入しての攻撃がよく見られる流れだった。

前半も終盤に入った40分。後方から地上戦でのビルドアップからミルナーの超絶パス+マネのスピードで局面をひっくり返したプレーでリバプールが先制。リバプールは前線3人の並びをいつも通りに戻した直後だった。
前半はこのまま1-0で終了。レスターは前半シュートを打てずに折り返しとなった。

【後半】収入を追うリバプールと支出を抑えたいレスター

後半は開始早々にリバプールが決定機を作る。左右に振って中盤のスライドが完了する前にSBがニアゾーンに侵入して中央サラーに合わせた場面。シュマイケルが防ぎ事なきを得たが、リバプールの中盤の裏を起点に繰り出すカウンターや決定機同様に左右に振ってSBからエリア内に送られる正確なパスにレスター苦しめられた。55分のサラーとマネの連続高速ワンツーは翼君岬君かよ。
対するレスターの守備は、前半穴になっていた左サイドの動きを修正。マディソンは大外を守り、代わりにティーレマンスが前に出てCBにプレッシャーかける形に変わっていた。前半みたいになることもあったけど、修正後の方が前半よりも1人1人の担当するエリアはバランスよくなったと思う。

レスターのビルドアップは、GK.2CB.アンカーに加えてティーレマンスが降りて5人がエリア内または近くに立って、サイドの低めの位置にSBを残す形でセット。
リバプールは2WGがCBへ寄せ、サラーがアンカーとIHの間に立ちつつ、ボールサイドの方に寄って周辺の出口を塞いで足元で繋いでのビルドアップを妨害するが、CBが外に躱して後半から右SHバーンズに代わって入ったオルブライトン含めた前線へフィードを送るか、SBへの低弾道のフィードでプレスを躱す。

リバプールは、守備時もラインを上げて選手間の距離を詰めることで、前線のプレスを躱されても中盤でボールホルダーにプレスをかけて時間を奪う。無理に前に出されたパスは上げているDFラインがカットして再びマイボールにするし、レスターが下げて繋いだ場合深追いはせずに後ろで持たせて蹴らせて回収か、ブロックに入ってきたら再びホルダーにプレッシャーをかけて強引な縦パスを蹴らせてマイボールにといった感じで俺のターンに成功していた。レスターが再び意図的にボールを回収できたのは、裏に走る前線へのフィードでリバプールのラインを下げて拾われても勢いのままにプレスをかけて蹴りださせたときくらいだったと思う。

時間が経過してもレスターの攻撃は、リバプールの守備の網に捕まることが殆どで、数少ないチャンスはオルブライトン→ヴァーディへのスルーパスくらいだったが、これはトラップが流れてGKがキャッチ。後半開始からのリバプールの圧力が弱まったことでボールを持てるようになったし、CKから相手陣地に押し込めていたけど、レスターは後半に入ってもシュートは0本のままだった。
リバプールはポゼッション時、前線への供給役はSB。バイタルエリアへの斜めの楔は効果的で、リバプールは前線3人がDFラインを引っ張る役と降りて受ける役とで適宜入れ替わり、SBからの楔を受けてシュートに繫げるシーンが良く見られた。無理にDFラインを上げて対応しようとすると正確なアーリークロスを裏に放り込んでくるのでレスターは手を焼いていた。ボールの供給役としてSBが目立ったのはマディソンが離してしまうのも要因の1つだったとは思うけど。。

70分過ぎたあたりからリバプールの両WGは守備の強度が落ちてきたのか、レスターはサイドから前進が可能に。前線は前半から運動量の多かったのでガス欠になっても不思議ではない。
リバプールは3CHがサイドにまで大きくスライドして対応するようになるんだけど、バイタルエリアの守備が後手になる。78分にフィルミーノ、ワイナルドゥム代えてオリギ、ヘンダーソンを入れたのはサイドからの漏れを防ぐための意味もあったように思う。
そのサイドを塞ぎに行った交代だったわけだけど、レスターの同点ゴールがミルナーが空けたスペースから崩されたのは、守備ブロックの外に降りたSHへのケアが後手になったところがスタートで、中央は人数が揃っていたのでオリギとロバートソンで対応できていればと思うシーンだった。引いた守備をする機会は少ない試合だったし、交代前でもミルナーは同様の対応をしていたのでレスターが狙っていたとも思うんだけどね!

レスターの2本目のシュートで同点となった試合は、お互いのゴール前を往来するようになる。トランジションの展開の中でも制限をかけようとプレスをかけるが逆サイドに展開されるなど、両チーム共躱してゴールへ迫る。どちらかと言えばリバプールの方が優位で、CKからチャンスを作っていたがゴールは決まらず。

ロスタイムも消化し切ろうかという93分にエリア内でマネをオルブライトンが倒して終了間際でPK。安全にCKに逃げておけば。。というのは言えるけど、たらればを言っても仕方ない。しっかりミルナーがPKを決めて勝ち越したリバプールが8連勝。ギリギリの勝利だったが開幕からの連勝をさらに伸ばすことになった。

【最後に】90分での収支は

レスターは今季7試合での1試合平均シュート数が13本、ポゼッションが56%という数字を残しており、それと比較するとシュート数2本、ポゼッション50%というスタッツは、相手が欧州王者で首位独走のリバプールであることはエクスキューズになるけれど、大きく見劣りする数字である。
だが、守り切ってカウンターに備えるわけではなく、攻撃的に守備をしていた印象だった。それが表れたのがアンカーのエンディディのポジションで、今季のリーグ戦では4-1-4-1を採用して守備時はその並びの通りにアンカーをCBの前に立たせてバイタルをケアしてきたのだが、この試合ではアンカーを前のめりで守備をさせてリバプールの中盤でフリーを作ることを阻止しつつ、攻撃に切り替わった時に厚みを出す狙いだったんだと思う。マディソンとティーレマンスの守備時の関係を含めて攻守で収支が合っているのかというと、守備面で後手になったところが大きくマイナスに転じたという印象は持っている。後半もピンチの数は多かったしね。CBの踏ん張りに託した!ってところもあったのかな。
リバプールの前線がガス欠になったことで得られた優位を逃さなかったのは、後半から入ったオルブライトンとペレスの2人。ビハインドという展開もあったけれど、交代選手がゴールに絡むのは理想的な采配だったと思う。いつからCHの出た穴を狙っていたのか分からないし、狙い通りかも分からないんだけどね!

リバプールは、前線3人の並びを変えてレスターSBの攻撃参加を警戒していたし元気なうちはそれが効果的だったと思うし、守備の貢献度が下がったところで手は打ったけど失点してしまったのは悔しい展開だっただろう。
結果的にマネのPKで勝ち越せたから良かったものの、サラーの攻撃力とフィルミーノ、マネの守備参加による収支が合っているのかはこの試合ではグレーな気がする。早めに2点目が取れていれば違ったんだろうけどね!
今日のようなやり方をするのなら、特にサラーは決定機は必ず仕留めないと収支が見合わないんじゃないかな。なんて思う試合だった。

個人的な予定だが今月のリバプール×トッテナムを現地観戦するのでその2チームの振り返りを残せたのは良かった!(レスター書いてるのにそっちは見ない笑)不定期だけどレスターのレビューは今後も続けるよ!飛行機無事に飛んでね!
今回はこの辺で。それでは。


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