GLP-1作動薬、DPP4阻害薬:背景エビデンス

イクレチン関連薬のエビデンス動向はGLP-1作動薬の有効性(プラセボに対する非劣性)およびSAVOR-TIMI 53以来インパクトを与え続ける心不全リスクの懸念に集約できる。

DPP4阻害薬の有効性については、2013年のSAVOR-TIMI 53(サキサグリプチン). EXAMINE(アログリプチン)2015年のTECOS Study(シタグリプチン)で一応決着がついているように思え、現段階でプラセボを超える心血管疾患予防効果は証明されていない。

TECOS Study:N Engl J Med. 2015 Jul 16;373(3):232-42. PMID: 26052984
SAVOR-TIMI 53:N Engl J Med. 2013 Oct 3;369(14):1317-26. PMID: 23992601
EXAMINEN Engl J Med. 2013 Oct 3;369(14):1327-35. PMID: 23992602

GLP-1作動薬の有効性については、
(RCTメタ分析)GLP-1作動薬でMACE減少傾向だが有意差なし
Diabetes Obes Metab. 2014 Jan;16(1):38-47.
また2015年に報告されたリキシセナチドいついても同様で、インクレチン関連薬というクラス全体での有効性は全体としても不明確であった。
N Engl J Med. 2015 Dec 3;373(23):2247-57. PMID: 26630143

心不全リスクの懸念に関しては、2013年SAVOR-TIMI 53以降、DPP4阻害薬で心不全リスク増加の懸念に関する報告が相次いだ。

サキサグリプチン(SAVOR-TIMI 53)
N Engl J Med. 2013 Oct 3;369(14):1317-26. PMID: 23992601
シタグリプチン(観察研究)
Int J Cardiol. 2014 Nov 15;177(1):86-90. PMID: 25499347
シタグリプチン(観察研究)
JACC Heart Fail. 2014 Dec;2(6):573-82. PMID: 24998080
DPP4阻害薬(観察研究)
Diabetes Care. 2015 Feb;38(2):277-84. PMID: 25205143
DPP4阻害薬(メタ分析)
Cardiovasc Ther. 2014 Apr 21.PMID: 24750644
Nutr Metab Cardiovasc Dis. 2014 Jul;24(7):689-97. PMID: 24793580
Int J Cardiol. 2015 Feb 15;181:239-44. PMID: 25528528
Cardiovasc Ther. 2014 Aug;32(4):147-58. PMID: 24750644
Eur Heart J. 2015 Sep 21;36(36):2454-62. PMID: 26112890

一方でアログリプチンについてはEXAMINE二次解析で心不全リスクの増加は示されなかった。
Lancet. 2015 May 23;385(9982):2067-76. PMID: 25765696

これまでに分かっているのは、有効性に関する曖昧性と心不全リスクの懸念と言えよう。

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